ITパスポート 令和4年度 1-10問

ITパスポート 令和4年度 1-10問
●●● ストラテジ ●●●

問1

著作権及び特許権に関する記述a~cのうち,適切なものだけを全て挙げたものはどれか。

  1. 偶然二つの同じようなものが生み出された場合、発明に伴う特許権は両方に認められるが,著作権は一方の著作者にだけ認められる。
  2. ソフトウェアの場合,特許権も著作権もソースプログラムリストに対して認められる。
  3. 特許権の取得には出願と登録が必要だが,著作権は出願や登録の必要はない。
ア a, b   イ b   ウ b, c   エ c

解答:エ
解説
知的財産権の著作権法と産業財産権の特許法に関する問題です。

著作権法は知的創造物に対する権利を保護する法律で、特許法は工業製品の発明やデザインを独占的に利用する権利である産業財産権のうち、新しいアイディアや発明である特許を保護する法律です。

  1. 不適切です。特許権は早いもの(出願)順で一方のみ、著作権は両方に認められます。
  2. 不適切です。ソフトウェアのプログラムは、著作権は認められるけど、特許権は認められません。
  3. 適切です。特許権は出願と登録が必要だけど、著作権はその必要はありません。作った時に自動で権利が生まれます。
ポイント
著作権は作ったその時に自動的に権利発生。プログラムも著作権の対象だよ!
特許権はなんかすごいアイデアや発明思いついたんだけど!って特許庁に出願して認められれば権利発生。

権利の対象、内容、期間などがよく出るよ!



問2

年齢,性別,家族構成などによって顧客を分類し,それぞれのグループの購買行動を分析することによって,集中すべき顧客層を絞り込むマーケティング戦略として,最も適切なものはどれか。

ア サービスマーケティング   イ セグメントマーケティング
ウ ソーシャルマーケティング  エ マスマーケティング

解答:イ
解説
マーケティングに関する問題です。

市場を年齢、性別、地域や家族構成などによって分類して細分化し、どの客層にマーケティングを行うか決めるマーケティング戦略はセグメントマーケティングです。

サービスマーケティングはサービスに特化したマーケティング手法で、ソーシャルマーケティングは社会的な利益を重視した活動、マスマーケティングは全ての人に同じ方法で行うマスマーケティングです。

ポイント
市場を年齢、性別、地域や家族構成などによって細分化することをセグメンテーションと呼ぶ。細分化した個々の部分がセグメント
具体的な手法は知らなくても単語からなんとなく推測できる問題。他の選択肢も同じく。消去法ではなくズバリ!で選択できるように。



問3

ゲーム機,家電製品などに搭載されている,ハードウェアの基本的な制御を行うためのソフトウェアはどれか。

ア グループウェア   イ シェアウェア
ウ ファームウェア   エ ミドルウェア

解答:ウ
解説
組込みシステムに関する問題です。

ゲーム機や家電製品など電子機器に組み込まれて、その機器を動かすための基本的な制御行うためのソフトウェアはファームウェアです。

グループウェアは組織の情報共有・情報交換など共同作業を支援するためのソフトウェアです。シェアウェアは試用期間中は無料だけど期間をすぎたら料金を支払うライセンス形態。ミドルウェアはOSとアプリケーションソフトウェアの中間の働きをするソフトウェアです。

ポイント
他の選択肢もすべて試験に出る内容なので覚えておこう!



問4

ITの活用によって,個人の学習履歴を蓄積,解析し,学習者一人一人の学習進行度や理解度に応じて最適なコンテンツを提供することによって,学習の効率と効果を高める仕組みとして,最も適切なものはどれか。

ア アダプティブラーニング   イ タレントマネジメント
ウ ディープラーニング     エ ナレッジマネジメント

解答:ア
解説
経営管理のヒューマンリソースマネジメント(人的資源管理)に関する問題です。

一人一人、個々の能力や理解度に応じて最適なコンテンツを提供して、効率的な学習を行う仕組みはアダプティブラーニングです。

タレントマネジメントは従業員(タレント)に能力やスキルを発揮してもらうように配属や育成を行うことです。 ディープラーニングはコンピュータが自動的にデータの特徴を発見する技術のことです。 ナレッジマネジメントは社員の持つ知識や情報を共有して企業の力を高める手法です。

ポイント
他の選択肢もすべて試験に出る内容なので覚えておこう!
特に流行のAIに関するアダプティブラーニング、ディープラーニングは出題されやすいので要チェック!



問5

NDAに関する記述として,最も適切なものはどれか。

ア 企業などにおいて,情報システムへの脅威の監視や分析を行う専門組織
イ 契約当事者がもつ営業秘密などを特定し,相手の秘密情報を管理する意思を合意する契約
ウ 提供するサービス内容に関して,サービスの提供者と利用者が合意した,客観的な品質基準の取決め
エ プロジェクトにおいて実施する作業を細分化し,階層構造で整理したもの

解答:イ
解説
労働関連・取引関連法規に関する問題です。

NDA(秘密保持契約:Non-Disclosure Agreement)は相手企業の秘密情報を他社に漏らしたり不正に利用したりしないと取り決めるときに結ぶ契約です。

アはSOC(Security Operation Center)、ウはSLA(Service Level Agreement)、エはWBA(Work Breakdown Structure)です。

ポイント
IT関連の単語に限らず似たような略語はたくさんあって覚えにくく間違えやすいので、最初に覚えるときに何の略か、何の頭文字となるのかをチェックしておくと覚えやすい!
全部覚えなくても、例えばNDAだったら最初の Non-Disclosure=秘密保持 とか、覚えやすい単語1つだけでもとっかかりになる。英語の勉強にもなるかも?



問6

自社開発した技術の特許化に関する記述a~cのうち,直接的に得られることが期待できる効果として,適切なものだけを全て挙げたものはどれか。

  1. 当該技術に関連した他社とのアライアンスの際に,有利な条件を設定できる。
  2. 当該技術の開発費用の一部をライセンスによって回収できる。
  3. 当該技術を用いた商品や事業に対して,他社の参入を阻止できる。
ア a   イ a, b   ウ a, b, c   エ b, c

解答:ウ
解説
産業財産権に関する問題です。

特許をはじめとする産業財産権は、発明やデザインを独占できる権利です。特許が認められれば、一定期間、特許技術を独占できるため、他社の参入を阻止することができます。
特許を持っていると、アライアンスなどの業務提携時有利な条件を設定でき、特許技術を他社が使えばライセンス料が取れます。
よって、a,b,cすべて直接的に得られることが期待できる効果として適切です。

ポイント
各種権利で何が保護されるのか、権利の期間、権利を有効にする方法などがよく出題される。逆にこれは権利を害するよ!という問題も出る。



問7

業務と情報システムを最適にすることを目的に,例えばビジネス,データ,アプリケーション及び技術の四つの階層において,まず現状を把握し,目標とする理想像を設定する。次に現状と理想との乖離を明確にし,目標とする理想像に向けた改善活動を移行計画として定義する。このような最適化の手法として,最も適切なものはどれ

ア BI (Business Intelligence)
イ EA (Enterprise Architecture)
ウ MOT (Management of Technology)
エ SOA (Service Oriented Architecture)

解答:イ
解説
情報システム戦略に関する問題です。

現状の業務を把握し、目標とする理想像に向けて最適化を行う手法はEA (Enterprise Architecture)です。

BI (Business Intelligence)はビジネスに関する問題を集めて分析し経営に役立てることで、MOT (Management of Technology)は技術を経営に結び付けて企業の成長を図ることで、SOA (Service Oriented Architecture)は必要なアプリケーションや機能を必要に応じて組合せて新たなシステムとすることです。

ポイント
EA、言葉で説明されても実際のところ概念がよくわからない言葉の代表。詳細は専門家にまかせればいいので、試験では「理想像」「最適」などのポイントだけ覚えておけばOK!



問8

ある業務システムの再構築に関して,複数のベンダにその新システムの実現イメージの提出を求めるRFIを予定している。その際,同時にベンダからの提出を求める情報として,適切なものはどれか。

ア 現行システムの概要     イ システム再構築の狙い
ウ 新システムに求める要件   エ 適用可能な技術とその動向

解答:エ
解説
システム企画の調達計画・実施に関する問題です。

RFI(情報提供依頼書:Request For Information)は、ベンダが持つ技術や経験などの情報を求めます。他の選択肢の内容は発注側が明示する内容です。

ポイント
RFIのあとには、具体的なシステムの提案書を求めるRFP(提案依頼書:Request for Proposal)の登場。どちらが先か、それぞれ何を求めているかが出題されるよ!



問9

不適切な行為a~cのうち,不正アクセス禁止法において規制されている行為だけを全て挙げたものはどれか。

  1. 他人の電子メールの利用者IDとパスワードを,正当な理由なく本人に無断で第三者に提供する。
  2. 他人の電子メールの利用者IDとパスワードを本人に無断で使用して,ネットワーク経由でメールサーバ上のその人の電子メールを閲覧する。
  3. メールサーバにアクセスできないよう,電子メールの利用者IDとパスワードを無効にするマルウェアを作成する。

ア a, b   イ a, b, c   ウ b   エ b, c

解答:ア
解説
セキュリティ関連法規に関する問題です。

不正アクセス禁止法は、他人のIDとパスワードを使って不正にアクセスすることを禁止する法律です。自分で不正アクセスするだけでなく、正当な理由なく本人に無断で第三者に提供することも規制されています。よってaとbは不正アクセス禁止法において規制されている行為です。
cのマルウェアを作成する行為は、不正指令電磁的記録に関する罪(ウイルス作成罪)で規制されています。

ポイント
不正アクセス禁止法に限らず、法律の違反行為は非常によく出題される。たまに「こんなん知るか!」という細かいところも出るので、過去問の例を頼りに知識を蓄積していこう



問10

特許戦略を策定する上で重要な“特許ポートフォリオ”について述べたものはどれか。

ア 企業が保有や出願している特許を,事業への貢献や特許間のシナジー,今後適用が想定される分野などを分析するためにまとめたもの
イ 技術イノベーションが発生した当初は特許出願が多くなる傾向だが,市場に支配的な製品の出現によって工程イノベーションにシフトし,特許出願が減少すること
ウ 自社製品のシェアと市場の成長率を軸にしたマトリックスに,市場における自社や競争相手の位置付けを示したもの
エ 複数の特許権者同士が,それぞれの保有する特許の実施権を相互に許諾すること

解答:ア
解説
技術開発戦略・技術開発計画に関する問題です。

特許ポートフォリオは、企業が持つ特許を分類して分析たもので、今後の開発戦略の参考に役立てます。

ウはPPM、エはクロスライセンスについて述べています。イは不明。コモディティ化?

ポイント
なんたらポートフォリオと出たら、縦横軸をひいてそこに分析するものを位置取りして現状を見極め、これからどうしたらいいかを探るために役立てるものだと思おう!