ITパスポート 令和4年度 31-40問

ITパスポート 令和4年度 31-40問
問31

コールセンタの顧客サービスレベルを改善するために,顧客から寄せられたコールセンタ対応に関する苦情を分類集計する。苦情の多い順に,件数を棒グラフ,累積百分率を折れ線グラフで表し,対応の優先度を判断するのに適した図はどれか。

ア PERT図   イ 管理図   ウ 特性要因図   エ パレート図

解答:エ
解説
業務分析・データ利活用に関する問題です。

値が大きい項目順に並べた棒グラフと、各項目の値が全体に占める割合を累計していった折れ線グラフを組み合わせたグラフは、パレート図です。 重要な項目が一目でわかるので、対応の優先度を判断するのに適しています。

ポイント
パレート図、分析図の出題の中では一番出題率が高い。
パレート図で、値が全体に占める割合によって項目をA・B・Cの3つのランクに分けるABC分析も出るよ!



問32

コンカレントエンジニアリングを適用した後の業務の流れを表した図として,最も適したものはどれか。ここで,図の中の矢印は業務の流れを示し,その上に各作業名を記述する。



解答:エ
解説
エンジニアリングシステムに関する問題です。

コンカレントエンジニアリングとは、設計から製造までの生産工程で必要なデータを共有して、各作業を同時並行で進めることで、商品開発期間の短縮を目指すことです。
各作業を同時並行している図はエになります。

ポイント
作業図例が出題されるのははじめて。とりあえずコンカレントエンジニアリングとはどんなものなのかをしっかり覚えよう。



問33

IT機器やソフトウェア,情報などについて,利用者の身体の特性や能力の違いなどにかかわらず,様々な人が同様に操作,入手,利用できる状態又は度合いを表す用語として,最も適切なものはどれか。

ア アクセシビリティ   イ スケーラビリティ
ウ ダイバーシティ    エ トレーサビリティ

解答:ア
解説
インタフェース設計に関する問題です。

ソフトウェアが、利用者の年齢や障がいの有無や能力の違いにかかわらず、多くの人が容易に利用できる、つまりアクセスできる状態であること、またはその度合いアクセシビリティといいます。

スケーラビリティはソフトウェアやシステムなどの拡張性です。
ダイバーシティは性別、年齢、国籍、宗教、経験などさまざまな多様性を取り入れて活かすことです。
トレーサビリティは商品の生産から流通までの履歴情報を追跡することです。

ポイント
ダイバーシティと区別がつきにくいので注意。



問34

あるオンラインサービスでは,新たに作成したデザインと従来のデザインのWebサイトを実験的に並行稼働し,どちらのWebサイトの利用者がより有料サービスの申込みに至りやすいかを比較,検証した。このとき用いた手法として,最も適切なものはどれか。

ア A/Bテスト   イ ABC分析   ウ クラスタ分析   エ リグレッションテスト

解答:ア
解説
業務分析・データ利活用に関する問題です。

WebデザインをAパターンとBパターンの2パターンを用意して、どっちのほうが良い成果を出せるのかということを検証する手法A/Bテストといいます。

ABC分析はパレート図で値が全体に占める割合によって項目をA・B・Cの3つのランクに分ける分析方法です。
クラスタ分析は、データの中から似た性質のものを集めてクラスターを作る方法です。
リグレッションテストは、プログラムを変更したときにその他の部分に意図しない影響が発生していないかどうかを確認するテストです。

ポイント
A/Bテストは、訪問者全体のうちどのぐらいの割合で商品購入やサービス申し込みが行われたかのコンバージョン率と、広告のクリック率で評価される。



問35

あるコールセンタでは,AIを活用した業務改革の検討を進めて,導入するシステムを絞り込んだ。しかし,想定している効果が得られるかなど不明点が多いので,試行して実現性の検証を行うことにした。このような検証を何というか。

ア IoT   イ PoC   ウ SoE   エ SoR

解答:イ
解説
ソリューションビジネスに関する問題です。

新たな概念やアイデアが本当に実現可能かどうかを示すために、実際に施行して検証を行うことPoC(Proof of Concept)といいます。

IoT(Internet of Things)は、あらゆるモノをインターネットに接続して大量のデータを収集・分析し、高度な判断やサービスの提供を実現することです。 SoE(System of Engagement)は、顧客との繋がりを意識したITシステムを意味する言葉です。 SoR(System of Records)は、記録を行うためのITシステムを意味する言葉です。

ポイント
すべて小さい o は of。選択肢語呂合わせか!他の選択肢も試験に出るのですべて知っておいたほうがいい。



●●● マネジメント ●●●

問36

プロジェクトで作成するWBSに関する記述のうち,適切なものはどれか。

ア WBSではプロジェクトで実施すべき作業内容と成果物を定義するので,作業工数を見積もるときの根拠として使用できる。
イ WBSには,プロジェクトのスコープ外の作業も検討して含める。
ウ 全てのプロジェクトにおいて,WBSは成果物と作業内容を同じ階層まで詳細化する。
エ プロジェクトの担当者がスコープ内の類似作業を実施する場合,WBSにはそれらの作業を記載しなくてよい。

解答:ア
解説
プロジェクトマネジメントに関する問題です。

WBSは、プロジェクトの対象となる作業を、大きな作業から徐々に小さい作業まで細分化し、階層化した構成図で管理する手法です。すべての作業内容と成果物を洗い出し、細分化した作業ごとに、目標や作業内容、スケジュール、成果物を設定するので、作業工数の見積もりに利用できます。

WBSには、プロジェクトのスコープ外の作業は含めません。詳細化するレベルはそれぞれ個なります。すべて同じ階層にする必要はありません。また、類似作業を実施する場合でも記載する必要があります。

ポイント
マネジメント分野は正直出題側もどの程度まで出したらいいか困る分野だと思う。WBSのようにわかりやすい図や概念は出題率が高いので覚えておこう。



問37

システムによる内部統制を目的として,幾つかの機能を実装した。次の処理は,どの機能の実現例として適切か。

ログイン画面を表示して利用者IDとパスワードを入力する。利用者IDとパスワードの組合せがあらかじめ登録されている内容と一致する場合は業務メニュー画面に遷移する。一致しない場合は遷移せずにエラーメッセージを表示する。

ア システム障害の検知
イ システムによるアクセス制御
ウ 利用者に対するアクセス権の付与
エ 利用者のパスワード設定の妥当性の確認

解答:イ
解説
内部統制に関する問題です。

組織内で不正や違法行為が行われることなく業務が遂行される仕組みを作ること内部統制といいます。
IDとパスワードを入力して一致する場合だけ作業ができ、一致しない場合はアクセス権利がないとしてエラーメッセージを表示するのは、システムによるアクセス制御の実現例です。

ポイント
セキュリティの問題とも関係する。説明文が長い・ややこしい場合ほどあまり深く考えずに単純に考えよう。
この場合、「内部統制を目的」と最初に出てるけど、それにまどわされずに、単純に処理が選択肢のどれに該当するか、と考えればOK。



問38

XP(エクストリームプログラミング)の説明として,最も適切なものはどれか。

ア テストプログラムを先に作成し,そのテストに合格するようにコードを記述する,開発手法のことである。
イ 一つのプログラムを2人のプログラマが1台のコンピュータに向かって共同で開発する方法のことである。
ウ プログラムの振る舞いを変えずに,プログラムの内部構造を改善することである。
エ 要求の変化に対応した高品質のソフトウェアを短いサイクルでリリースする,アジャイル開発のアプローチの一つである。

解答:エ
解説
開発プロセス・手法 に関する問題です。

XP(エクストリームプログラミング)は、細かい機能ごとに短期間で開発してはリリースするサイクルを繰り返しながら機能を追加していくアジャイル開発の手法の一つです。

アはテスト駆動開発、イはペアプログラミング、ウはリファクタリングの説明で、すべてXPのプラクティス(実践項目)として定義されています。

ポイント
アジャイル、XP、プラクティスの関係がめんどくさい。アジャイル関係は最近の流行なので必ず出題されると覚悟しておくといい。とりあえず名称とおおまかな内容のみは覚えておこう。



問39

提供するITサービスの価値を高めるためには,サービスの提供価格,どのようなことができるかというサービスの機能,及び可用性などを維持するサービスの保証の三つのバランスを考慮する必要がある。インスタントメッセンジャのサービスに関する記述のうち,サービスの保証に当たるものはどれか。

ア 24時間365日利用可能である。
イ ゲームなどの他のソフトウェアと連携可能である。
ウ 無料で利用可能である。
エ 文字の代わりに自分で作成したアイコンも利用可能である。

解答:ア
解説
サービスマネジメント に関する問題です。

インスタントメッセンジャとは、インターネットに接続したユーザ間で短いメッセージをリアルタイムでやりとりするアプリケーションです。 サービスの保証にあたるのは、アの「24時間365日利用可能」のみです。

イはサービスの機能、ウはサービスの提供価格、エはサービスの機能にあたります。

ポイント
情報がいつでも利用できる状態にある可用性はいろんなところで出てくるよ!



問40

ITガバナンスに関する記述として,最も適切なものはどれか。

ア ITサービスマネジメントに関して,広く利用されているベストプラクティスを集めたもの
イ システム及びソフトウェア開発とその取引の適正化に向けて,それらのベースとなる作業項目の一つ一つを定義して標準化したもの
ウ 経営陣が組織の価値を高めるために実践する行動であり,情報システム戦略の策定及び実現に必要な組織能力のこと
エ プロジェクトの要求事項を満足させるために,知識,スキル,ツール,技法をプロジェクト活動に適用すること

解答:ウ
解説
内部統制 に関する問題です。

ITガバナンスは、企業が経営戦略に合致したITの有効活用が行えるような仕組みを組み込んで統制することです。経営陣がITガバナンスの方針を示し、情報システム戦略の策定を行います。実戦するのは、、情報システム部門などです。

アはITIL、イは共通フレーム、エはプロジェクトマネジメントに関する記述です。

ポイント
ITガバナンスは説明が難しいものの一つ。簡単に言うと経営にITをうまく取り込もうぜ!という行動です。