ITパスポート 令和5年度 31-40問

ITパスポート 令和5年度 31-40問
問31

様々な企業のシステム間を連携させる公開されたインタフェースを通じて,データやソフトウェアを相互利用し,それらの企業との協業を促進しながら新しいサービスを創出することなどで,ビジネスを拡大していく仕組みを表す用語として,最も適切なものはどれか。

ア APIエコノミー       イ アウトソーシング
ウ シェアリングエコノミー   エ プロセスイノベーション

解答:ア
解説
技術開発戦略の立案・技術開発計画に関する問題です。

ソフトウェアの機能を外部から呼び出す規約であるAPI(Application Programming Interface)を通じて、データやソフトウェアを繋ぎ合わせ・相互利用して新しいサービスを創出する仕組みAPIエコノミーといいます。

アウトソーシングは業務の一部を外部に委託することです。
シェアリングエコノミーは個人や企業が所有する、使用していない自動車や自宅の空きスペースをほかの人へ貸したり共同で使用したりする仕組みです。
プロセスイノベーションは製品やサービスそのものの変革ではなく、生産・流通の過程や方法を改善して変革を起こすことです。

ポイント
最も有名な例がGoogle Maps。各サイトが取り込んで利用することが可能。
無駄なく再利用・相互利用などの仕組みに関する問題は今後も多く出ると思う。



問32

新システムの導入を予定している企業や官公庁などが作成するRFPの説明として,最も適切なものはどれか。

ア ベンダー企業から情報収集を行い,システムの技術的な課題や実現性を把握するもの
イ ベンダー企業と発注者で新システムに求められる性能要件などを定義するもの
ウ ベンダー企業と発注者との間でサービス品質のレベルに関する合意事項を列挙したもの
エ ベンダー企業にシステムの導入目的や機能概要などを示し,提案書の提出を求めるもの

解答:エ
解説
調達計画・実施に関する問題です。

RFP(提案依頼書:Request For Proposal)調達する情報システムの導入目的や概要、提案依頼事項、調達条件などを明示して提案書の提出を依頼する文書です。

アはRFI(情報提供依頼:Request For Information)、イはシステム要件定義書、ウはSLA(Service Level Agreement:サービスレベル合意書)の説明です。


ポイント
RFIとRFPはよく出る。違いを理解しておこう!
【発注元と、ベンダ間のやりとり】

発注元    ベンダ
RFIで「こんなシステム欲しいんだけど、そっちの情報求む」→
 ←「うちはこんな会社だよ!こんなの作れるよ!」←
RFPで「もっと詳しく!納期とか性能とか!」→
 ←「こんなカンジでどうでしょ?」←

発注元は比較評価して選定して契約、となる。
ざっくりとした内容と、RFIの方が最初とだけ覚えておくといい。



問33

製品Aを1個生産するのに部品aが2個,部品bが1個必要である。部品aは1回の発注数量150個,調達期間1週間,部品bは1回の発注数量100個,調達期間2週間の購買部品である。製品Aの6週間の生産計画と,部品a,部品bの1週目の手持在庫が表のとおりであるとき,遅くとも何週目に部品を発注する必要があるか。ここで,部品の発注,納品はそれぞれ週の初めに行われるものとし,納品された部品はすぐに生産に利用できるものとする。



ア 2   イ 3   ウ 4   エ 5

解答:イ
解説
業務分析・データ利活用に関する問題です。

条件は以下の通りです。
・製品Aを1個生産するのに部品aが2個、部品bが1個必要
・部品aは1回の発注数量150個、調達期間1週間
 部品bは1回の発注数量100個、調達期間2週間

表を順に見ていきましょう。
1週目は生産個数なしなので2週目からになります。
2週目以降の生産個数は各40個なので、部品は毎週それぞれ次の数が必要です。

 部品a 40 × 2 = 80個
 部品b 40 × 1 = 40個

2週目の手持在庫数量は、1週目の手持在庫数から必要数ひいて
 部品a 250 - 80 = 170個
 部品b 150 - 40 = 110個

どちらも次週必要な部品量は足ります。同じように3週目を計算すると
 部品a 170 - 80 = 90個
 部品b 110 - 40 = 70個

4週目は
 部品a 90 - 80 = 10個
 部品b 70 - 40 = 30個

ここで5週目は部品が足りなくなることがわかります。
部品の発注、納品はそれぞれ週の初めに行われ、かつ部品aの調達期間1週間、部品bの調達期間2週間かかるので、部品aは1週間、部品bは2週間前に部品を発注する必要があります。

【部品の在庫量】
1週目2週目3週目4週目
部品a2501709010
←←←
部品b1501107030
←←←←←←
よって、遅くとも3週目に部品を発注する必要があります。

ポイント
各発注数量が1週の製造量に足りなかったら問題はちょっと複雑だった。
ITパスポートでそこまで複雑なものは出ない。問題を読めばとける。面倒な場合はあとまわしで。



問34

記述a~cのうち,“人間中心のAI社会原則”において,AIが社会に受け入れられ,適正に利用されるために,社会が留意すべき事項として記されているものだけを全て挙げたものはどれか。

  1. AIの利用に当たっては,人が利用方法を判断し決定するのではなく,AIが自律的に判断し決定できるように,AIそのものを高度化しなくてはならない。
  2. AIの利用は,憲法及び国際的な規範の保障する基本的人権を侵すものであってはならない。
  3. AIを早期に普及させるために,まず高度な情報リテラシーを保有する者に向けたシステムを実現し,その後,情報弱者もAIの恩恵を享受できるシステムを実現するよう,段階的に発展させていかなくてはならない。
ア a, b   イ a, b, c   ウ b   エ b, c

解答:ウ
解説
ビジネスシステムに関する問題です。

人間中心のAI社会原則とは、AIをより良い形で社会実装し共有するため、社会において尊重すべき3つの基本理念と、これを実現するための7つの基本原則により構成されるものです。

【3つの基本理念】
 人間の尊厳、多様性・包摂性、持続可能性

【7つの基本原則】
・人間中心の原則
・教育・リテラシーの原則
・プライバシー確保の原則
・セキュリティ確保の原則
・公正競争確保の原則
・公平性、説明責任、及び透明性(FAT)の原則
・イノベーションの原則

AIの利用は人がどう利用するか判断すべき、としています。
また、人々の格差やAI弱者を生み出さないようにする必要があります。
よって社会が留意すべき事項として記されているのは、bだけです。「人間中心の原則」で、AIの利用は、憲法及び国際的な規範の保障する基本的人権を侵すものであってはならないとされています。

ポイント
詳細はまだ出ないと思ったら出てきた。
どれも常識的なことを言っているだけなので、詳しく知らなくてもなんとかなる。



問35

第4次産業革命に関する記述として,最も適切なものはどれか。

ア 医療やインフラ,交通システムなどの生活における様々な領域で,インターネットやAIを活用して,サービスの自動化と質の向上を図る。
イ エレクトロニクスを活用した産業用ロボットを工場に導入することによって,生産の自動化と人件費の抑制を行う。
ウ 工場においてベルトコンベアを利用した生産ラインを構築することによって,エ業製品の大量生産を行う。
エ 織機など,軽工業の機械の動力に蒸気エネルギーを利用することによって,人手による作業に比べて生産性を高める。

解答:ア
解説
経営・組織論に関する問題です。

インダストリー4.0(第4次産業革命)とは、製造業でAIやIoTを活用した革新を指します。
アの医療やインフラ,交通システムなどの生活における様々な領域で,インターネットやAIを活用して,サービスの自動化と質の向上を図る、が正解です。

イは第3次産業革命、ウは第2次産業革命、イは第1次産業革命の説明です。

ポイント
これもそこそこ出る!
一次から順に、機械化→大量生産→自動化→インターネットやAIの活用。

五次はコンピューター技術とバイオテクノロジーの融合といわれている。



●●● マネジメント ●●●

問36

サービスデスクの業務改善に関する記述のうち,最も適切なものはどれか。

ア サービスデスクが受け付けた問合せの内容や回答,費やした時間などを記録して分析を行う。
イ 障害の問合せに対して一時的な回避策は提示せず,根本原因及び解決策の検討に注力する体制を組む。
ウ 利用者が問合せを速やかに実施できるように,問合せ窓口は問合せの種別ごとにできるだけ細かく分ける。
エ 利用者に対して公平性を保つように,問合せ内容の重要度にかかわらず受付順に回答を実施するように徹底する。

解答:ア
解説
サービスマネジメントシステムに関する問題です。

サービスデスクは、システムの利用者からの質問やインシデント発生の報告、苦情など、さまざまな問合せに対して対応する機能を持つ窓口です。
サービスデスクが受け付けた問合せの内容や回答、費やした時間などを記録して分析を行うことはサービスデスクの業務改善になります。

イは問題管理プロセスの役割で、ウの窓口は単一窓口(SPOC:Single Point of Contact)の方がユーザ・サービスデスク側両方から見てメリットが多く、エの利用者公平性より問合せ内容の重要度に応じて対応するほうが良い結果になります。

ポイント
SPOCについては問題の一元管理と、たらいまわしを避けるため。今後別に出題されるかも?



問37

システム監査人の行動規範に関して,次の記述中のa,bに入れる字句の適切な組合せはどれか。

システム監査人は,監査対象となる組織と同一の指揮命令系統に属していないなど,  a  上の独立性が確保されている必要がある。また,システム監査人は  b  立場で公正な判断を行うという精神的な態度が求められる。



解答:ア
解説
システム監査に関する問題です。

システム監査人は、システム監査を行う人で、監査対象から独立していて客観性・公平性をもって監査を行うことが求められます。

監査対象となる組織と同一の指揮命令系統に属していないことや、外部の独立組織に属するなど、外観上の独立性が求められます。

ポイント
システム監査人の独立性について出題率高!
システム監査人は監査対象から、見た目も独立(外観上の独立性)、気持ちの上でも独立(精神上の独立性)している必要がある、



問38

システム開発プロジェクトの品質目標を検討するために,複数の類似プロジェクトのプログラムステップ数と不良件数の関係性を示す図として,適切なものはどれか。

ア 管理図   イ 散布図   ウ 特性要因図   エ パレート図

解答:イ
解説
プロジェクトマネジメント、業務分析・データ利活用に関する問題です。

2つの要素の関係を見るために、1つ目の要素を横軸に、2つ目の要素を縦軸にプロットしたグラフ散布図といいます。


プロジェクトのプログラムステップ数と不良件数をプロジェクトごとにプロットすることで、2つの要素の関係性を見出すことができます。

管理図は上限・下限の限界線を設定して異常なデータを発見するために使うのに適しています。
特性要因図は候補となる原因を魚の骨の形で表して、結果と要因を結びつけ整理し、根本原因を検討するのに適しています。
パレート図は値が大きい項目順に並べた棒グラフと、各項目の値が全体に占める割合を累計していった折れ線グラフを組み合わせたグラフで、重要な項目が一目でわかるので、対応の優先度を判断するのに適しています。

ポイント
分析図は形状と何を見るのに適しているかセットで覚えよう!
パレート図が分析図の出題の中では一番出題率が高い。
パレート図で、値が全体に占める割合によって項目をA・B・Cの3つのランクに分けるABC分析も出るよ!



問39

運用中のソフトウェアの仕様書がないので,ソースコードを解析してプログラムの仕様書を作成した。この手法を何というか。

ア コードレビュー        イ デザインレビュー
ウ リバースエンジニアリング   エ リファクタリング

解答:ウ
解説
開発プロセス・手法に関する問題です。

既存のソフトウェアのプログラムを解析して、仕様を導き出す手法リバースエンジニアリングといいます。

コードレビューは、プログラム(ソースコード)を検査して誤りや改善点をみつけ出す取り組みです。
デザインレビューは、開発活動の成果物を複数の人で評価し、次の段階に進むかどうか判断する活動です。
リファクタリングは、外部仕様を変更することなく、プログラムの内部構造を変更することです。

ポイント
開発プロセス・手法はそれほど数がないので過去問で出たものはすべて覚えてしまおう!



問40

ソフトウェア開発におけるDevOpsに関する記述として,最も適切なものはどれか。

ア 運用側で利用する画面のイメージを明確にするために,開発側が要件定義段階でプロトタイプを作成する。
イ 開発側が,設計・開発・テストの工程を順に実施して,システムに必要な全ての機能及び品質を揃えてから運用側に引き渡す。
ウ 開発側と運用側が密接に連携し,自動化ツールなどを取り入れることによって,仕様変更要求などに対して迅速かつ柔軟に対応する。
エ 一つのプログラムを2人の開発者が共同で開発することによって,生産性と信頼性を向上させる。

解答:ウ
解説
開発プロセス・手法に関する問題です。

DevOpsは、システムの開発側と運用側が密接に連携し合い、新機能をリリースしてシステムを迅速に顧客へ届けることです。

アはプロトタイプ開発、イはウォーターフォール開発、ウはペアプログラミングに関する記述です。

ポイント
DevOpsは出現率高。開発手法も新しいものがよく出題されるが、たまにぽこっと古いものも出るので基本的なものは全部覚えておこう。