ITパスポート 令和2年度 41-50問

ITパスポート 令和2年度 41-50問
問41

システム監査の目的に関して,次の記述中のa,bに入れる字句の適切な組合せは どれか。

情報システムに関わるリスクに対するコントロールの適切な整備・運用について,  a  のシステム監査人が  b  することによって,ITガバナンスの実現に寄与する。



解答:エ
解説
システム監査に関する問題です。

システム監査は、システムにまつわるさまざまなリスクに 対して対策できているかどうかを評価・検証することです。
システム監査を行うシステム監査人は、独立かつ専門的な立場の人間で、リスクに対するコントロールの適切な整備・運用を評価します。

ポイント
システム監査人はどういう立場か、システム監査で何を行うか、監査の流れもよく出題される。



問42

情報システム開発の詳細設計が終了し,プログラミングを外部のベンダに委託することにした。仕様,成果物及び作業の範囲を明確に定義した上で,プログラミングを委託先に請負契約で発注することにした。発注元のプロジェクトマネージャのマネジメント活動として,最も適切なものはどれか。

ア 委託先に定期的な進捗報告を求めるとともに,完成したプログラムの品質を確認する。
イ 委託先の作業内容を詳細に確認し,生産性の低い要員の交代を指示する。
ウ 委託先の作業場所で,要員の出退勤を管理し,稼働状況を確認する。
エ 委託先の要員に余力がある場合,仕様変更に伴うプログラミングの作業を担当者に直接指示する。

解答:ア
解説
プロジェクトマネジメント に関する問題です。

請負契約は、仕事の一部をほかの企業に委託する契約です。発注元のプロジェクトマネージャは、委託した企業の社員に対して、直接指揮・命令を行うことはできません。
よってイ~エの行為は請負契約違反となります。

発注元は、進捗や品質の監査などは行うことができるので、定期的な進捗報告を求めるとともに、完成したプログラムの品質を確認することは可能です。

ポイント
派遣契約の場合は、発注元が直接指揮・命令を行う。



問43

あるコールセンタでは,顧客からの電話による問合せに対応するオペレータを支援するシステムとして,顧客とオペレータの会話の音声を認識し,顧客の問合せに対する回答の候補をオペレータのPCの画面に表示するAIを導入した。1日の対応件数は1,000件であり,問合せ内容によって二つのグループA,Bに分けた。AI導入前後の各グループの対応件数,対応時間が表のとおりであるとき,AI導入後に,1日分の1,000件に対応する時間は何%短縮できたか。



ア 15   イ 16   ウ 20   エ 24

解答:エ
解説
サービスマネジメントシステムに関する問題です。

対応時間が短縮されたのはグループAのみです。
AI導入前、グループAの対応時間は全体の80%で、AI導入後は導入前の30%時間短縮されたので、80%のうちさらに30%が短縮された分になります。

80% × 30% = 0.8 × 0.3 = 0.24 = 24%

AI導入後に1日分の1,000件に対応する時間は24%短縮できました。

ポイント
対応件数はひっかけ。
こういう、考えすぎると混乱する問題はたまにでる。ITパスポートでそれほど複雑な計算問題は出ない!
と考えよう。そもそも計算苦手ならあとまわしか、なんなら捨ててもいい。



問44

次の作業はシステム開発プロセスのどの段階で実施されるか。

実務に精通している利用者に参画してもらい,開発するシステムの具体的な利用方法について分析を行う。

ア システム要件定義   イ システム設計
ウ テスト        エ プログラミング

解答:ア
解説
システム開発技術に関する問題です。

システム開発プロセスは、

 システム要件定義→システム設計→プログラミング→テスト

の順で進められます。
実務に精通している利用者に参画してもらって開発するシステムの具体的な利用方法について分析を行うのは、最初のシステム要件定義のプロセスです。

ポイント
順番は普通に考えればわかるので、おおざっぱに各プロセスで行う内容だけ理解しておこう。



問45

ITガバナンスの説明として,最も適切なものはどれか。

ア 企業が競争優位性構築を目的に,IT戦略の策定・実行をコントロールしあるべき方向へ導く組織能力のこと
イ 事業のニーズを満たす良質のITサービスを実施すること
ウ 情報システムにまつわるリスクに対するコントロールが,適切に整備,運用されていることを第三者が評価すること
エ 情報セキュリティを確保,維持するために,技術的,物理的,人的,組織的な視点からの対策を,経営層を中心とした体制で組織的に行うこと

解答:ア
解説
内部統制 に関する問題です。

ITガバナンスとは、企業が、競争優位性構築を目的に、経営戦略に合致したIT戦略の策定・実行をコントロールし、ITの有効活用が行えるよう組織を導く能力のことです。

イはITサービスマネジメント、ウはシステム監査、エは情報セキュリティマネジメントの説明です。

ポイント
ようするに、ITを組織で上手く使おうぜ!って活動。
他の選択肢の方が何の説明かわかりやすいので、消去法でも可。



問46

開発担当者と運用担当者がお互いに協調し合い,バージョン管理や本番移行に関する自動化のツールなどを積極的に取り入れることによって,仕様変更要求などに対して迅速かつ柔軟に対応できるようにする取組を表す用語として,最も適切なものはどれか。

ア DevOps        イ WBS
ウ プロトタイピング   エ ペアプログラミング

解答:ア
解説
開発プロセス・手法に関する問題です。

システムの開発部門と運用部門お互いに協調し合い、仕様変更要求などに対して迅速かつ柔軟に対応できるようにする取組のことをDevOpsといいます。
読みは「デブオプス」、開発(Development)と運用(Operations)を合わせた言葉です。 システムのバージョン管理やリリース管理等のツールを活用することで、リリースまでの期間を短縮して、柔軟なシステム開発を実現します。

WBS(Work Breakdown Structure)はプロジェクトの作業をレベルまで要素分解して階層化した構成図で管理する手法です。
プロトタイピングは早い段階からプロトタイプ(試作品)を作って開発を進めていく開発モデルです。
ペアプログラミングはコードを書く人とコードをチェックする人の役割を2人で交互に担当しながら開発を行うことです。

ポイント
仕様変更の際、開発側は速く作りたい!対して運用側は、いやいやそんな簡単に言わないで。変更すると管理とか大変なのよ?ってことで意見が合わなかったのを、ツールを利用して問題を解決しましょう!という取り込み。



問47

システム障害が発生した際,インシデント管理を担当するサービスデスクの役割として,適切なものはどれか。

ア 既知の障害事象とその回避策の利用者への紹介
イ システム障害対応後の利用者への教育
ウ 障害が発生している業務の代行処理
エ 障害の根本原因調査

解答:ア
解説
サービスマネジメントシステムに関する問題です。

サービスデスクは、システムの利用者からの質問やインシデント発生の報告などさまざまな問合せに対して、単一の窓口で対応する機能です。
システム障害が発生した際、インシデント管理では原因の追求ではなく、業務の継続を優先した対策を行います。よってアの既知の障害事象とその回避策の利用者への紹介がサービスデスクの役割として適切です。

イは問題管理プロセス、ウはサービス要求管理プロセス、エは問題管理プロセスの役割です。

ポイント
インシデント管理として、サービスデスクとしてどちらで考えても同じ。受付でイ~エなんてやってくれません!
インシデント管理は障害に対することをなんでもやるわけじゃなくて、サービスの停止時間を最小限に抑える活動をする。



問48

委託に基づき他社のシステム監査を実施するとき,システム監査人の行動として,適切なものはどれか。

ア 委託元の経営者にとって不利にならないように監査を実施する。
イ システム監査を実施する上で知り得た情報は,全て世間へ公開する。
ウ 指摘事項の多寡によって報酬を確定できる契約を結び監査を実施する。
エ 十分かつ適切な監査証拠を基に判断する。

解答:エ
解説
システム監査に関する問題です。

システム監査は、システムにまつわるさまざまなリスクに 対して対策できているかどうかを評価・検証することです。
システム監査を行うシステム監査人は、独立かつ専門的な立場の人間で、リスクに対するコントロールの適切な整備・運用を評価します。
システム監査人は、十分かつ適切な監査証拠を基に判断し、調査結果をまとめます。

独立した立場で客観的に判断するので、委託元の経営者にとって不利にならないように監査した場合は客観的・公平性に欠けます。
システム監査を実施する上で知り得た情報は、理由なく世間へ公開してはいかません。
指摘事項の多寡によって報酬を確定できる契約は、客観的・公平性に欠けるので不適切です。

ポイント
システム監査の内容・順番・システム監査人の立場等がよく出題される。



問49

ある会社ではサービスデスクのサービス向上のために,チャットボットを導入することにした。チャットボットに関する記述として,最も適切なものはどれか。

ア PCでの定型的な入力作業を,ソフトウェアのロボットによって代替することができる仕組み
イ 人の会話の言葉を聞き取り,リアルタイムに文字に変換する仕組み
ウ 頻繁に寄せられる質問とそれに対する回答をまとめておき,利用者が自分で検索できる仕組み
エ 文字や音声による問合せ内容に対して,会話形式でリアルタイムに自動応答する仕組み

解答:エ
解説
サービスマネジメントシステムに関する問題です。

チャットボットチャットでの問合せでソフトウェアによる自動対応を行う仕組みです。
文字入力だけではなく、音声による問合せ内容に対して、会話形式でリアルタイムに自動応答を行います。

アはRPA(Robotic Process Automation)、イは音声文字変換、ウはFAQ(Frequently Asked Questions)の説明です。

ポイント
出題人気なチャットボット。一般的によく使われるものなので、よく出題されると思われる。
試験問題は人によって違うあげくランダムなので、今回のチャットボットのように同じ項目が複数回出題されることもある。しかも連続してとか、ままある。ただの偶然なので深く考えないように!



問50

プロジェクトメンバ間のコミュニケーションのルールを明確にするための施策として,適切なものはどれか。

ア 作成すべき成果物を定義する。
イ 実際に使った費用を把握し,計画とのずれがあれば対策を講じる。
ウ スケジュールを作成し,進捗管理を行う。
エ プロジェクト情報の作成や配布の方法を明確にする。

解答:エ
解説
プロジェクトマネジメントに関する問題です。

プロジェクト情報の作成や配布の方法を明確にすることは、プロジェクトメンバ間のコミュニケーションのルールを明確にするための施策です。

アはスコープ、イはコスト、ウはスケジュールを明確にするための施策です。

ポイント
マネジメント問題は、「プロジェクト」と考えると難しく思えるので、仕事に限らず、何かを行う時の一般的な考え方を適用すればOK!