ITパスポート 令和3年度 11-20問

ITパスポート 令和3年度 11-20問
問11

RPA(Robotic Process Automation)の特徴として,最も適切なものはどれか。

ア 新しく設計した部品を少ロットで試作するなど,工場での非定型的な作業に適している。
イ 同じ設計の部品を大量に製造するなど,工場での定型的な作業に適している。
ウ システムエラー発生時に,状況に応じて実行する処理を選択するなど,PCで実施する非定型的な作業に適している。
エ 受注データの入力や更新など,PCで実施する定型的な作業に適している。

解答:エ
解説
業務プロセス に関する問題です。

RPA(Robotic Process Automation)は、書類作成やデータ入力作業などのルール化できる事務作業をソフトウェア型のロボットに代替させることで、自動化や効率化を図ることです。 PCを使ったルール化できる事務作業、つまり受注データの入力や更新など、PCで実施する定型的な作業に適しています。

工場での非定型的な作業、工場での定型的な作業、PCでも非定型的な作業には適していません。

ポイント
ロボットといっても、物理的に動いて作業するロボットではなく、あくまでソフトウェアということを理解しよう。



問12

労働者派遣に関する記述a~cのうち,適切なものだけを全て挙げたものはどれ か。

  1. 派遣契約の種類によらず,派遣労働者の選任は派遣先が行う。
  2. 派遣労働者であった者を,派遣元との雇用期間が終了後,派遣先が雇用してもよい。
  3. 派遣労働者の給与を派遣先が支払う。
ア a   イ a, b   ウ b   エ b, c

解答:ウ
解説
労働関連・取引関連法規 に関する問題です。

労働者派遣法では、派遣先が労働者を選ぶことはできません。また、雇用関係は派遣元と労働者の間にあるので、給料は派遣元が支払います。
派遣元は、派遣元との雇用期間が終了後に労働者行動を制限することはできないので、派遣先が雇用しても問題ありません。

ポイント
労働者派遣法は派遣労働者を守るための法律。
他には、建設業務や警備業務などへの派遣や、他の仕事先への二重派遣はダメ。
法律関係の問題は禁止行為を問う問題が多い。法律内容を全部詳しく知る必要はないのが、過去問に出ている事例だけはしっかりチェックしておこう!

あと、基本ながら「元」と「先」の区別がつくように。
派遣元(派遣会社) → 労働者 → 派遣先



問13

FinTechの事例として,最も適切なものはどれか。

ア 銀行において,災害や大規模障害が発生した場合に勘定系システムが停止することがないように,障害発生時には即時にバックアップシステムに切り替える。
イ クレジットカード会社において,消費者がクレジットカードの暗証番号を規定回数連続で間違えて入力した場合に,クレジットカードを利用できなくなるようにする。
ウ 証券会社において,顧客がPCの画面上で株式売買を行うときに,顧客に合った投資信託を提案したり自動で資産運用を行ったりする,ロボアドバイザのサービスを提供する。
エ 損害保険会社において,事故の内容や回数に基づいた等級を設定しておき,インターネット自動車保険の契約者ごとに,1年間の事故履歴に応じて等級を上下させるとともに,保険料を変更する。

解答:ウ
解説
e-ビジネス に関する問題です。

FinTechとは、金融業でITを活用してこれまでにない革新的なサービスを開拓する取組みです。
証券会社で顧客がPCの画面上で株式売買を行うときに、顧客に合った投資信託を提案したり自動で資産運用を行ったりするロボアドバイザのサービスを提供するのはFinTechの事例です。

ポイント
FinTech(フィンテック)は、金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた言葉。
キャッシュレス決済や仮想通貨、ロボアドバイザー等、「これまでにない革新的なサービス」を指す。



問14

ソフトウェアライフサイクルを,企画プロセス,要件定義プロセス,開発プロセス,運用プロセスに分けるとき,システム化計画を踏まえて,利用者及び他の利害関係者が必要とするシステムの機能を明確にし,合意を形成するプロセスはどれか。

ア 企画プロセス   イ 要件定義プロセス
ウ 開発プロセス   エ 運用プロセス

解答:イ
解説
要件定義に関する問題です。

【ソフトウェアライフサイクル】
企画プロセス システムの構想を立案(システム化計画)
要件定義プロセス システム化の範囲と機能、性能、利用方法を明らかにする
開発プロセス 要件定義をもとに開発
運用プロセス 実際の環境でシステムを運用
保守プロセス 不具合対応・変更・改善を行う

システム化計画を踏まえて、利用者及び他の利害関係者が必要とするシステムの機能を明確にし合意を形成するプロセスは要件定義プロセスです。

ポイント
ソフトウェアライフサイクルの流れと内容は絶対に出る!
保守プロセスは入ったり入らなかったり。疑問に思わず、その時の問題文に従って臨機応変に考える事。基本は同じだから問題ない。



問15

A社の情報システム部門は,B社のソフトウェアパッケージを活用して,営業部門が利用する営業支援システムを構築することにした。構築に合わせて,EUC(End User Computing)を推進するとき,業務データの抽出や加工,統計資料の作成などの運用を行う組織として,最も適切なものはどれか。

ア A社の営業部門
イ A社の情報システム部門
ウ B社のソフトウェアパッケージ開発部門
エ B社のソフトウェアパッケージ導入担当部門

解答:ア
解説
システム活用促進・評価に関する問題です。

EUC(End User Computing)とは、開発者ではない人がアプリケーションソフトウェアを作成できるよう支援するシステム、またはシステム利用者が開発や管理にかかわることです。
A社の営業部門が利用する営業支援システムを構築するときにEUC(End User Computing)を推進するので、利用者であるA社の営業部門が業務データの抽出や加工、統計資料の作成などの運用を行うのが適切です。

ポイント
文字コードのEUC(Extended UNIX Code)も略字が一緒。ややこしい!



問16

マーチャンダイジングの説明として,適切なものはどれか。

ア 消費者のニーズや欲求,購買動機などの基準によって全体市場を幾つかの小さな市場に区分し,標的とする市場を絞り込むこと
イ 製品の出庫から販売に至るまでの物の流れを統合的に捉え,物流チャネル全体を効果的に管理すること
ウ 店舗などにおいて,商品やサービスを購入者のニーズに合致するような形態で提供するために行う一連の活動のこと
エ 配送コストの削減と,消費者への接触頻度増加によるエリア密着性向上を狙って,同一エリア内に密度の高い店舗展開を行うこと

解答:ウ
解説
マーケティングに関する問題です。

マーチャンダイジングは、消費者のニーズに合った商品を、購入者のニーズに合致するような形態で提供するために行う一連の活動です。
具体的には、陳列の工夫、価格設定にする、在庫切れにならないように製造する、といった活動です。

ポイント
マーケティングの用語も知っていないと答えられないものが多い。
とにかく覚えるべし。



問17

プロバイダが提供したサービスにおいて発生した事例a~cのうち,プロバイダ責任制限法によって,プロバイダの対応責任の対象となり得るものだけを全て挙げたものはどれか。

  1. 氏名などの個人情報が電子掲示板に掲載されて,個人の権利が侵害された。
  2. 受信した電子メールの添付ファイルによってマルウェアに感染させられた。
  3. 無断で利用者IDとパスワードを使われて,ショッピングサイトにアクセスされた。
ア a   イ a, b, c   ウ a, c   エ c

解答:ア
解説
その他の法律・ガイドライン・技術者情報倫理 に関する問題です。

プロバイダ責任制限法は、インターネット上に公開された情報によって権利侵害があった場合の、プロバイダなど通信事業者の対応について定めた法律です。
個人情報が電子掲示板に掲載されて個人の権利が侵害された場合は、プロバイダの対応責任の対象となり得ます。

bはウイルス作成罪、cは不正アクセス禁止法で規制される内容で、プロバイダの対応責任の対象にはなりません。

ポイント
ITに関する法律はこれ以上増えてどうすんだー!ってぐらい増えつつある。今後も増える可能性があるので、まだシラバスにないものでもニュース記事で見かけたらチェックしておこう。



問18

戦略目標の達成状況を評価する指標には,目標達成のための手段を評価する先行指標と目標達成度を評価する結果指標の二つがある。戦略目標が“新規顧客の開拓”であるとき,先行指標として適切なものはどれか。

ア 売上高増加額   イ 新規契約獲得率
ウ 総顧客増加率   エ 見込み客訪問件数

解答:エ
解説
ビジネス戦略と目標・評価に関する問題です。

先行指標は、目標達成のための手段やプロセスを評価し、結果指標は、目標達成度を評価します。
例えば目標を「来月新規契約〇件」としたとき、具体的な目標はそれぞれ

先行指標
 ・見込み契約数
 ・営業件数
結果指標
 ・新規契約数

となります。
選択肢の中では、見込み客訪問件数が先行指標となります。

ポイント
こうした具体例を問う問題は想像力が大事!
覚えにくいものは、具体的な例を参考にすると覚えやすい。



問19

ビッグデータの分析に関する記述として,最も適切なものはどれか。

ア 大量のデータから未知の状況を予測するためには,統計学的な分析手法に加え,機械学習を用いた分析も有効である。
イ テキストデータ以外の,動画や画像,音声データは,分析の対象として扱うこことができない。
ウ 電子掲示板のコメントやSNSのメッセージ,Webサイトの検索履歴など,人間この発信する情報だけが,人間の行動を分析することに用いられる。
エ ブログの書き込みのような,分析されることを前提としていないデータについては,分析の目的にかかわらず,対象から除外する。

解答:ア
解説
ビジネスシステム に関する問題です。

ビッグデータは、データ量が巨大・画像や音声など多種多様な形式・リアルタイムで収集分析できるという特性を持ちます。
大量のデータの分析には、AIの機械学習を用いた分析も有効です。

また、各センサー等から自動収集した情報から人間の行動を分析することも可能です。ブログの書き込みも分析対象となります。

ポイント
ついでに、ビッグデータから解析を行って、新しいサービスや価値を生み出すためのヒントを見つけ出す専門分野であるデータサイエンスも一緒に覚えよう。
AIに関する問題は非常によく出るよ!



問20

画像認識システムにおける機械学習の事例として,適切なものはどれか。

ア オフィスのドアの解錠に虹彩の画像による認証の仕組みを導入することによってセキュリティが強化できるようになった。
イ 果物の写真をコンピュータに大量に入力することで,コンピュータ自身が果物の特徴を自動的に抽出することができるようになった。
ウ スマートフォンが他人に利用されるのを防止するために,指紋の画像認識でロック解除できるようになった。
エ ヘルプデスクの画面に,システムの使い方についての問合せを文字で入力すると,会話形式で応答を得ることができるようになった。

解答:イ
解説
情報に関する理論 に関する問題です。

機械学習は、システムが自分で学習することなので、対象の写真を大量に入力し、コンピュータ自身が対象の特徴を自動的に抽出することができるようになることが画像認識システムにおける機械学習の事例となります。

虹彩の画像による認証の仕組みや指紋の画像認識は、あらかじめ登録されたデータとの照合なので、機械学習は利用していません。
エはチャットボットの説明です。これは自然言語処理の機械学習が利用されています。

ポイント
機械学習の事例は、他にもデータ分析による予想、音声認識、手書き書類のデータ化などがあります。どれもよく出るよ!