ITパスポート 令和4年度 41-50問

ITパスポート 令和4年度 41-50問
41問

テレワークを推進しているある会社では,サテライトオフィスを構築している。サテライトオフィスで使用するネットワーク機器やPCを対象に,落雷による過電流を防止するための対策を検討した。有効な対策として,最も適切なものはどれか。

ア グリーンITに対応した機器の設置
イ サージ防護に対応した機器の設置
ウ 無線LANルータの設置
エ 無停電電源装置の設置

解答:イ
解説
ファシリティマネジメントに関する問題です。

近くで落雷があると瞬間的に高い電圧(サージ)が発生し、過電流が電話回線などを通じてオフィス内の機器に流れ込んで故障の原因になります。このような落雷による過電流を防止するための対策として有効なのは、過電圧の被害から機器を防御するサージ防護に対応した機器の設置です。

ポイント
経営・組織論もちょっと入っているかも。インターネットを使ってオフィスに出勤することなく業務を行うテレワークと、企業の本拠地とは異なる場所に設置された小規模なオフィスであるサテライトオフィスも知っておくといい。
サテライトオフィスで使用するネットワーク機器が壊れたらテレワークによる仕事は壊滅的。



42問

システムの開発側と運用側がお互いに連携し合い,運用や本番移行を自動化する仕組みなどを積極的に取り入れ,新機能をリリースしてサービスの改善を行う取組を表す用語として,最も適切なものはどれか。

ア DevOps   イ RAD   ウ オブジェクト指向開発   エ テスト駆動開発

解答:ア
解説
開発プロセス・手法 に関する問題です。

システムの開発側と運用側が密接に連携し合い、新機能をリリースしてシステムを迅速に顧客へ届けることをDevOpsといいます。

RAD(Rapid Application Development)は、ユーザーを含む少人数で開発を進め、プロトタイプを作りそれを評価・改良するサイクルを繰り返すことで、完成品に近づけていくく手法です。
オブジェクト指向開発は、データとデータに関する処理を1つのオブジェクトとして管理し、オブジェクトを組み合わせて開発する技法でです。
テスト駆動開発は、テストプログラムを先に作成してそのテストに合格するようにコードを記述する開発手法です。

ポイント
DevOpsも出現率高。開発手法も新しいものがよく出題されるが、たまにぽこっと古いものも出るので基本的なものは全部覚えておこう。



43問

図のアローダイアグラムにおいて,作業Bが2日遅れて完了した。そこで,予定どおりの期間で全ての作業を完了させるために,作業Dに要員を追加することにした。作業Dに当初20名が割り当てられているとき,作業Dに追加する要員は最少で何名必要か。ここで,要員の作業効率は一律である。



ア 2   イ 3   ウ 4   エ 5

解答:エ
解説
プロジェクトマネジメントの問題です。

アローダイアグラムは、プロジェクトの全体の流れを図にしたものです。作業を「→」で書き、矢印の上に作業名、下に所要日数を記載します。

予定のクリティカルパス(一番時間がかかる経路)は

 A → C → D

または

 B → D

です。必要日数は5+5+10または10+10で20日です。
作業Bが2日遅れて完了したので、クリティカルパスは

 B → D

となります。必要日数は10+2+10で22日になってしまいます。予定どおりの期間、つまり20日で全ての作業を完了させるために、10日かかるDの作業の人数を増やして、増えた2日分を取り戻すために10-2=8日で作業を終える必要があります。

作業Dに当初20名が割り当てられていて10日の作業だったので、作業Dは

 20×10=200人日

の作業量になります。
200人日の作業量を8日で終わらせるには、
 200人日÷8日=25人

の人員が必要です。当初は20人の予定だったので、
 25人-20人=5人

作業Dに追加する要員は最少で5名必要です。

ポイント
アローダイアグラムと作業量計算の合わせ技問題。アローダイアグラムはクリティカルパスが読める事が必須。
作業量計算は、どのぐらいの人数で何日(週、月もあり)かかるか、で考えよう。作業量は単純掛け算だけど、日数を変更した場合とか人員を変更した場合などの応用が多い。



44問

ITサービスマネジメントにおけるインシデント管理の目的として,適切なものはどれか。

ア インシデントの原因を分析し,根本的な原因を解決することによって,インシデントの再発を防止する。
イ サービスに対する全ての変更を一元的に管理することによって,変更に伴う障害発生などのリスクを低減する。
ウ サービスを構成する全ての機器やソフトウェアに関する情報を最新,正確に維持管理する。
エ インシデントによって中断しているサービスを可能な限り迅速に回復する。

解答:エ
解説
サービスマネジメントシステム に関する問題です。

ITサービスマネジメントのインシデント管理は、システムに障害が発生したときに、業務の継続を優先した対策を行い、サービスの停止時間を最小限に抑え、可能な限り迅速にサービスを回復することが目的です。

アは問題管理、イは変更管理、ウは構成管理の目的です。

ポイント
ITサービスマネジメントのプロセスと内容はチェックしておこう。インシデント管理=障害管理と名称がダブる場合もあるので注意。
色々な名称は文書がバージョンアップされると変更や統合されることがある。古い過去問をだと異なることが多いので、なるべく近々のものから学習しよう。



45問

ブラックボックステストに関する記述として,適切なものはどれか。

ア プログラムの全ての分岐についてテストする。
イ プログラムの全ての命令についてテストする。
ウ プログラムの内部構造に基づいてテストする。
エ プログラムの入力と出力に着目してテストする。

解答:エ
解説
システム開発技術に関する問題です。

プログラムを個々の機能単位に分割したものをモジュールといいます。モジュールの内部構造は考慮しないで、入力したデータに対して、仕様書どおりの出力が得られるかどうかをテストするのがブラックボックステストです。

ポイント
ブラックボックスに対して、ホワイトボックステストは、モジュールの内部構造に着目して、1つひとつが正しく動作するかどうかをテストする。
ホワイトボックス・ブラックボックスはもうでなさそうだと思ったけどまだ出た。基本なので覚えておこう。



46問

a~dのうち,ファシリティマネジメントに関する実施事項として,適切なものだけを全て挙げたものはどれか。

  1. コンピュータを設置した建物への入退館の管理
  2. 社内のPCへのマルウェア対策ソフトの導入と更新管理
  3. 情報システムを構成するソフトウェアのライセンス管理
  4. 停電時のデータ消失防止のための無停電電源装置の設置
ア a ,c   イ a, d   ウ b, d   エ c, d

解答:イ
解説
ファシリティマネジメントに関する問題です。

ファシリティマネジメントとは、システムを設置する環境に着目し、施設や設備(ファシリティ)が適切な状態にあるよう管理することです。
ファシリティマネジメントでは、空調管理、入退館の管理、無停電電源装置(UPS)の設置などを行います。
ソフトの導入やライセンス管理は管理対象がファシリティではないので適切ではありません。

ポイント
入退館の管理の管理は情報漏洩防止のため。無停電電源装置(UPS)は単体でもよく出題されるよ!



47問

ソフトウェア保守に関する記述のうち,適切なものはどれか。

ア 本番環境で運用中のシステムに対して,ソフトウェアの潜在不良を発見し,障害が発生する前に修正を行うことはソフトウェア保守には含まれない。
イ 本番環境で運用中のシステムに対して,ソフトウェアの不具合を修正することがソフトウェア保守であり,仕様変更に伴う修正はソフトウェア保守には含まれない。
ウ 本番環境で運用中のシステムに対して,法律改正に伴うソフトウェア修正もソフトウェア保守に含まれる。
エ 本番環境で運用中のシステムに対する修正だけでなく,納入前のシステム開発期間中に実施した不具合の修正もソフトウェア保守に含まれる。

解答:ウ
解説
システム開発技術 に関する問題です。

ソフトウェア保守では、運用開始後、ソフトウェアの不具合や利用者の要望の変化、法律改正などによって、ソフトウェアの修正や変更を行います。 よってウが正解です。

潜在不良の修正、仕様変更に伴う修正はソフトウェア保守に含まれます。納入前のシステム開発期間中に実施した不具合の修正はソフトウェア保守に含まれません。

ポイント
システム開発の流れは「要件定義→システム設計→プログラミング→テスト→ソフトウェア受入れ→ソフトウェア保守」。それぞれの工程で行うことをポイントで覚えよう。
要件定義とソフトウェア保守は出題率高!



48問

システム開発プロジェクトの品質マネジメントにおいて,品質上の問題と原因との関連付けを行って根本原因を追究する方法の説明として,適切なものはどれか。

ア 管理限界を設定し,上限と下限を逸脱する事象から根本原因を推定する。
イ 原因の候補リストから原因に該当しないものを削除し,残った項目から根本原因を絞り込む。
ウ 候補となる原因を魚の骨の形で整理し,根本原因を検討する。
エ 複数の原因を分類し,件数が多かった原因の順に対処すべき根本原因の優先度を決めていく。

解答:ウ
解説
プロジェクトマネジメント に関する問題です。

品質マネジメントでは、プロジェクトで作られる成果物が、顧客の要望を満たす品質であるよう管理します。
品質上の問題と原因との関連付けを行って根本原因を追究する方法には、候補となる原因を魚の骨の形で表して、結果と要因を結びつけ整理し、根本原因を検討する特性要因図が適しています。

アは管理図で異常なデータを発見するために使います。イとエは、問題と原因との関連付けを行っていません。

ポイント
プロジェクトマネジメントよりも業務分析・データ利活用の図の問題か?
図は大まかな形と何の分析に役立つかを知っておこう。



49問

ITサービスの利用者からの問合せに自動応答で対応するために,チャットボットを導入することにした。このようにチャットボットによる自動化が有効な管理プロセスとして,最も適切なものはどれか。

ア インシデント管理   イ 構成管理   ウ 変更管理   エ 問題管理

解答:ア
解説
サービスマネジメントシステム に関する問題です。

チャットボットは人と会話することを目的としたプログラムで、あらかじめ想定される問合せ内容と回答を登録しておくことで、利用者の質問に対してチャットをしているように即時に答えが返ります。

インシデント管理は可能な限り迅速にサービスを復旧させることを目指します。よって、チャットボットによる自動化が有効なのはインシデント管理です。

ポイント
チャットボットも良く出る問題の一つ。覚えておこう。
サービスマネジメントの各プロセスも特徴を理解しておこう。



50問

120kステップのソフトウェアを開発した。開発の各工程における生産性の実績が表のとおりであるとき,開発全体の工数は何人月か。ここで,生産性は1人月当たりのkステップとする。



ア 10   イ 12   ウ 24   エ 50

解答:エ
解説
プロジェクトマネジメントに関する問題です。

ステップとは、プログラムの行数です。120k=120,000行のソフトウェアの開発ということになります。
生産性は、一人の人が期間内(この場合一月)働く際に、どのぐらいの仕事ができるか、を示した数値です。

問題の設計工程の生産性は6.0kステップ/人月です。
つまり、一人の人が一月で6.0kステップかかる作業です。
120kステップの設計にかかるのは
 120kステップ÷6.0kステップ/人月=20人月
となります。

製造工程の生産性は4.0kステップ/人月なので、120kステップの製造にかかるのは
 120kステップ÷4.0kステップ/人月=30人月
となります。

開発全体の工数は
 20人月+30人月=50人月
になります。

ポイント
開発工数=開発規模÷生産性の関係を理解しておこう。
が、実は式なんて知らなくてもできる。「何人でどのぐらい時間かかる仕事か」と考えればいい。誰でも知ってる速度計算と考え方は一緒。