ITパスポート 令和3年度 41-50問

ITパスポート 令和3年度 41-50問
問41

クラスや継承という概念を利用して,ソフトウェアを部品化したり再利用することで,ソフトウェア開発の生産性向上を図る手法として,適切なものはどれか。

ア オブジェクト指向      イ 構造化
ウ プロセス中心アプローチ   エ プロトタイピング

解答:ア
解説
開発プロセス・手法 に関する問題です。

クラスや継承という概念を利用して、データと、データに関する処理を部品化し、組み合わせて開発することでソフトウェア開発の生産性向上を図る手法オブジェクト指向です。

構造化は、プログラムをいくつかの単位に分け、単純な処理を積み重ねる構造で記述することです。
プロセス中心アプローチは、業務の過程や手順に着眼して設計を行うことです。
プロトタイピングは、早い段階から試作品(プロトタイプ )を作って、ユーザに確認してもらいながら開発を進めていく開発モデルです。

ポイント
実際にシステム開発をしたことがないと、どんなものなのかイメージしにくい。
代表的なものだけ特徴を覚えよう。
最近の主流はアジャイル開発だけど、古くからあるものもたまにぽろっと出題されるので知っておくといい。



問42

システム開発プロジェクトにおいて,利用者から出た要望に対応するために,プログラムを追加で作成することになった。このプログラムを作成するために,先行するプログラムの作成を終えたプログラマを割り当てることにした。そして,結合テストの開始予定日までに全てのプログラムが作成できるようにスケジュールを変更し,新たな計画をプロジェクト内に周知した。このように,変更要求をマネジメントする活動はどれか。

ア プロジェクト資源マネジメント
イ プロジェクトスコープマネジメント
ウ プロジェクトスケジュールマネジメント
エ プロジェクト統合マネジメント

解答:エ
解説
プロジェクトマネジメントに関する問題です。

プロジェクトの立上げから終結までのプロセス間を、プロジェクトマネジメントの全てのプロセスの観点で統合的に管理し、相互調整を行うのがプロジェクト統合マネジメントです。
全てのプロセスで生じた変更要求は、プロジェクト統合マネジメントで把握・管理して調整が行われます。

ポイント
プロジェクトマネジメントのプロセスは、大抵名称を見ればどんな内容かは想像できる。
スコープはプロジェクトの成功のために必要な作業や成果物のこと。



問43

A社で新規にシステムを開発するプロジェクトにおいて,システムの開発をシステム要件定義,設計,プログラミング,結合テスト,総合テスト,運用テストの順に行う。A社は,外部ベンダのB社と設計,プログラミング及び結合テストを委託範囲とする請負契約を結んだ。A社が実施する受入れ検収はどの工程とどの工程の間で実施するのが適切か。

ア システム要件定義と設計の間   イ プログラミングと結合テストの間
ウ 結合テストと総合テストの間   エ 総合テストと運用テストの間

解答:ウ
解説
プロジェクトマネジメントに関する問題です。

受入れ検収は、発注者が指定した内容通りに稼働するかどうかをチェックすることです。
外部ベンダのB社が行うのは、設計、プログラミング及び結合テストです。B社は3つの作業終了後、A社に納品を行います。それ以外の作業はA社が行います。
発注者であるA社は、B社が作業を行って納品したものに対して検収を行います。つまり、結合テストと総合テストの間に受入れ検収を行います。

ポイント
開発プロセスと請負契約の合わせ技問題。とかいいつつ、実際はただ常識で考えればわかるはず。



問44

ITサービスマネジメントにおいて,サービスデスクが受け付けた難度の高いインシデントを解決するために,サービスデスクの担当者が専門技術をもつ二次サポートに解決を委ねることはどれか。

ア FAQ         イ SLA
ウ エスカレーション   エ ワークアラウンド

解答:ウ
解説
サービスマネジメントシステム に関する問題です。

問合せに対して単一の窓口を設置して対応する機能をサービスデスクといいます。
問合せのうち、難度の高いインシデントを、専門技術をもつ部署に引き継ぐことエスカレーションといいます。

FAQ(Frequently Asked Questions)は、よくある質問と回答をまとめたものです。
SLAは、サービスレベルを利用者側の責任者と合意しておく契約のことです。
ワークアラウンドは、問題が発生した場合の応急処置や回避策など一時しのぎの対処法です。

ポイント
今後も出そう。他の選択肢の内容も覚えておく事。



問45

ITILに関する記述として,適切なものはどれか。

ア ITサービスの提供とサポートに対して,ベストプラクティスを提供している。
イ ITシステム開発とその取引の適正化に向けて,作業項目を一つ一つ定義し,標準化している。
ウ ソフトウェア開発組織の成熟度を多段階のレベルで定義している。
エ プロジェクトマネジメントの知識を体系化している。

解答:ア
解説
サービスマネジメントに関する問題です。

ITILは。ITサービスマネジメントの国際的なフレームワークです。ITサービスマネジメントの成功例(ベストプラクティス)を提供しています。

イは共通フレーム、ウはCMMI(Capability Maturity Model Integration)、エはPMBOKの説明です。

ポイント
フレームワークとは、意思決定や問題解決などの時に基礎となる枠組みのこと。
共通して用いることが出来る仕組みや考え方を利用すれば、一から模索するより楽に進めることができる。



問46

システム要件定義で明確にするもののうち,性能に関する要件はどれか。

ア 業務要件を実現するシステムの機能
イ システムの稼働率
ウ 照会機能の応答時間
エ 障害の復旧時間

解答:ウ
解説
システム開発技術 に関する問題です。

システム要件定義とは、システムに必要な機能や応答時間などの処理性能を明らかにする要件定義です。
照会機能の応答時間が性能に関する要件です。

ポイント
性能とは、能力。
どんだけすごいのか、という事。
アは機能、さらに稼働率や障害の復旧時間は非機能要件定義



問47

システム開発プロジェクトにおいて,成果物として定義された画面・帳票の一覧と,実際に作成された画面・帳票の数を比較して,開発中に生じた差異とその理由を確認するプロジェクトマネジメントの活動はどれか。

ア プロジェクト資源マネジメント
イ プロジェクトスコープマネジメント
ウ プロジェクト調達マネジメント
エ プロジェクト品質マネジメント

解答:イ
解説
プロジェクトマネジメントに関する問題です。

スコーププロジェクトの成功のために必要な作業や成果物のことです。スコープを管理するプロジェクトマネジメントの活動はプロジェクトスコープマネジメントです。

ポイント
今回2問目プロジェクトマネジメントの問題。
マネジメント分野はあまり出題する項目がないので、「どのマネジメントの活動か?」と逆に「このマネジメントの活動はどれか?」が必ず出る。



問48

既存のプログラムを,外側から見たソフトウェアの動きを変えずに内部構造を改善する活動として,最も適切なものはどれか。

ア テスト駆動開発        イ ペアプログラミング
ウ リバースエンジニアリング   エ リファクタリング

解答:エ
解説
開発プロセス・手法 に関する問題です。

外部仕様を変更することなく、プログラムの内部構造を変更することリファクタリングといいます。

テスト駆動開発は、最初にテストプログラムを書いてそのテストプログラムが動作するプログラムを書く方式です。
ペアプログラミングは、コードを書く人とコードをチェックする人の2人1組みで役割を交互に担当して開発を行うことです。
リバースエンジニアリングは、既存のソフトウェアのプログラムを解析して、仕様を導き出すことです。

ポイント
選択肢どれも出る!特にXP関連のテスト駆動開発ペアプログラミングリファクタリングは全部チェック。
実際どんなものかわからなくてもいい。特徴だけおさえておくこと。



問49

ITガバナンスに関する次の記述中のaに入れる,最も適切な字句はどれか。

  a  は現在及び将来のITの利用についての評価とIT利用が事業の目的に合致することを確実にする役割がある。

ア 株主   イ 監査人   ウ 経営者   エ 情報システム責任者

解答:ウ
解説
内部統制 に関する問題です。

ITガバナンスとは、経営戦略に合致したITの有効活用が行えるような仕組みを組織に組み込み、統制することです。
ITガバナンスは経営者の責任で推し進めます。

ポイント
ITガバナンスは経営者が方針を明確にし、実践は情報システム部門が行う。



問50

自分のデスクにあるPCと共有スペースにあるプリンタの起動を1人で行う。PCとプリンタの起動は図の条件で行い,それぞれの作業・処理は逐次実行する必要がある。自動処理の間は,移動やもう片方の作業を並行して行うことができる。自分のデスクにいる状態でPCの起動を開始し,移動してプリンタを起動した上で自分のデスクに戻り,PCの起動を終了するまでに必要な時間は,最短で何秒か。



ア 223   イ 256   ウ 286   エ 406

解答:ア
解説
プロジェクトマネジメントに関する問題です。

PCを起動して、移動、プリンタを起動、戻る、PC終了までの流れを見てみます。 まずPCの電源を入れます。

 A電源を入れる(3秒)

次のBログイン画面起動処理(150秒)は自動処理なので、この間に机を離れることができるので移動します。

 移動(60秒)

プリンタに移動して起動します。

 E電源を入れる(3秒)

次のF起動処理(60秒)は自動処理なので机に戻ります。

 移動(60秒)

移動して戻ってくるまでに

 60+3+60=123秒

かかりますが、Bログイン画面起動処理(150秒)はまだ終わっていません。
プリンタのF起動処理(60)は戻ってくる時間と同時に終わるので問題ありません。
結局かかる時間は

 A電源を入れる(3秒)+Bログイン画面起動処理(150秒)+Cログイン操作(10秒)+Dログイン後のアプリケーション起動処理(60秒)=223秒

223秒かかります、



ポイント
以前よく出たジョブ完了時間問題と同じ。
わかりにくい場合は図を書いてみよう。