ITパスポート 令和2年度 21-30問

ITパスポート 令和2年度 21-30問
問21

横軸に相対マーケットシェア,縦軸に市場成長率を用いて自社の製品や事業の戦略的位置付けを分析する手法はどれか。

ア ABC分析       イ PPM分析
ウ SWOT分析      エ バリューチェーン分析

解答:イ
解説
経営戦略手法 に関する問題です。

横軸に相対マーケットシェア、縦軸に市場成長率を用いて、企業が扱う事業や商品が、市場でどの位置付けにあるかを把握して、経営資源を効率的に配分するための分析手法は、PPM分析です。

PPM分析


ABC分析は、重要度の高い順にA、B、Cでランク付けをする分析手法です。
SWOT分析は、企業に対して影響を与えている環境を、強み、機会、弱み、脅威の4つに分けて分析する手法です。
バリューチェーン分析は、企業や事業の活動において生み出された価値の流れを分析し、自社や競合の強み・弱みを明らかにする手法です。

ポイント
PPM分析はProduct Portfolio Management、プロダクトポートフォリオマネジメントと長い名前でも出るぞ!

4つの位置の名称と、取るべき戦略が出題される。
花形市場成長中。さらなる投資を
金のなる木最小限の投資で利益を。得た利益をほかの事業へ
問題児すぐに積極的な投資を行うか、逆にきっぱり撤退
負け犬撤退か売却を検討
分析で一番よく出題されるのはこのPPM分析、少し前の流行はSWOT分析。どちらも特徴を覚えておこう。



問22

AIの活用領域には音声認識,画像認識,自然言語処理などがある。音声認識と自然言語処理の両方が利用されているシステムの事例として,最も適切なものはどれか。

ア ドアをノックする音を検知して,カメラの前に立っている人の顔を認識し,ドアのロックを解除する。
イ 人から話しかけられた天気や交通情報などの質問を解釈して,ふさわしい内容を回答する。
ウ 野外コンサートに来場する人の姿や話し声を検知して,会場の入り口を通過する人数を記録する。
エ 洋書に記載されている英文をカメラで読み取り,要約された日本文として編集する。

解答:イ
解説
業務分析・データ利活用,ビジネスシステムに関する問題です。

AI(Artificial Intelligence:人工知能)は、人間の思考プロセスをソフトウェアで人工的に再現した技術です。

音声認識 人間が話した声を解析
画像認識 画像に映る人やモノを認識
自然言語処理 日本語や英語など人が日常で使う言語を処理

音声認識と自然言語処理の両方が利用されているシステムの事例は、人から話しかけられた天気や交通情報などの質問を解釈して、ふさわしい内容を回答することです。

アは音声認識と画像認識、ウは画像認識と音声認識、エは画像認識と自然言語処理の事例です。

ポイント
ここまで細かい分類をする問題は今後出なさそうだけど、 AIでできることの事例として全て理解しておくといい。



問23

経営戦略と情報システム戦略の関係性の説明として,最も適切なものはどれか。

ア 経営戦略と情報システム戦略は,それぞれが相互に独立したものとして策定される。
イ 経営戦略の内容を踏まえて情報システム戦略が策定される。
ウ 情報システム戦略の内容を踏まえて経営戦略が策定される。
工 情報システム戦略はIT部門の戦略であり,経営戦略は経営企画部門の戦略である。

解答:イ
解説
情報システム戦略に関する問題です。

情報システム戦略は、経営戦略の内容を踏まえて、企業の経営に有効なシステム化の方針を決定することです。

情報システム戦略経営戦略は関係性があり、両方とも会社全体の戦略です。

ポイント
経営戦略の方が上位。それを実現するために情報システム戦略を立てる。



問24

CADの導入効果として,適切なものはどれか。

ア 資材の所要量を把握して最適な発注ができる。
イ 生産工程の自動化と作業の無人化ができる。
ウ 生産に関連する一連のプロセスを統合的に管理できる。
エ 設計データを再利用して作業を効率化しやすくする。

解答:エ
解説
エンジニアリングシステムに関する問題です。

CAD(Computer Aided Design)は、製品の設計を支援するシステム・ツールです。設計情報を共有・再利用できるので、作業を効率化しやすくする効果があります。

アはMRP(Material Requirements Planning)、イはFA(Factory Automation)システム、ウは生産管理システムの導入効果です。

ポイント
CADやPOSなど、比較的ポピュラーなもの(古い?現在当たり前のもの?)もたまに出題される。
もし知らなければ他の管理システムと同様にチェックしておくこと。



問25

サイバーセキュリティ基本法は,サイバーセキュリティに関する施策に関し,基本理念を定め,国や地方公共団体の責務などを定めた法律である。記述a~dのうち,この法律が国の基本的施策として定めているものだけを全て挙げたものはどれか。

  1. 国の行政機関等におけるサイバーセキュリティの確保
  2. サイバーセキュリティ関連産業の振興及び国際競争力の強化
  3. サイバーセキュリティ関連犯罪の取締り及び被害の拡大の防止
  4. サイバーセキュリティに係る人材の確保
ア a   イ a, b   ウ a, b, c   エ a, b, c, d

解答:エ
解説
セキュリティ関連法規に関する問題です。

サイバーセキュリティ基本法は、情報システムやネットワークに対する攻撃に対して防御施策を行って、情報セキュリティを確保するサイバーセキュリティに対する国の基本理念を定めた法律です。

サイバーセキュリティ基本法では、a~dすべてが基本的施策として定められています。
他にも団体間の連携や研究の推進、教育などに関して定められています。

ポイント
ITに関する法律は改正も頻繁。すべて追うのは難しいので、とりあえず基本的なことだけ覚えておこう。



問26

全国に複数の支社をもつ大企業のA社は,大規模災害によって本社建物の全壊を想定したBCPを立案した。BCPの目的に照らし,A社のBCPとして,最も適切なものはどれか。

ア 被災後に発生する火事による被害を防ぐために,カーテンなどの燃えやすいものを防炎品に取り替え,定期的な防火設備の点検を計画する。
イ 被災時に本社からの指示に対して迅速に対応するために,全支社の業務を停止して,本社から指示があるまで全社員を待機させる手順を整備する。
ウ 被災時にも事業を継続するために,本社機能を代替する支社を規定し,限られた状況で対応すべき重要な業務に絞り,その業務の実施手順を整備する。
エ 毎年の予算に本社建物への保険料を組み込み,被災前の本社建物と同規模の建物への移転に備える。

解答:ウ
解説
経営・組織論に関する問題です。

BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)は、災害やテロなどの緊急事態が発生したときに、企業が損害を最小限に抑えて事業が継続できるよう、停止の場合はすばやく復旧できるように事前にたてておく計画です。

被災時にも事業を継続するために、本社機能を代替する支社を規定し、限られた状況で対応すべき重要な業務に絞り、その業務の実施手順を整備するのは、BCPです。

ウ以外は事業を継続するための計画ではありません。

ポイント
セットで覚えよう。
BCM(Business Continuity Management:事業継続マネジメント)はBCPを策定・運用・改善に取り組む活動。



問27

企業間で商取引の情報の書式や通信手順を統一し,電子的に情報交換を行う仕組みはどれか。

ア EDI   イ EIP   ウ ERP   エ ETC

解答:ア
解説
e-ビジネスに関する問題です。

企業間の商取引で発生するデータの書式や通信手順を統一して、ネットワークを介して電子的に交換する手法EDI(Electronic Data Interchange)です。

EIP(Enterprise Information Portal)は企業内のデータベースやアプリケーションを利用できるシステムです。
ERP(Enterprise Resource Planning)は企業全体の経営資源を統合的に管理するためのシステムです。
ETC(Electronic Toll Collection)は高速道路や有料道路の料金所ゲートで認証や決済を行うシステムです。

ポイント
選択肢全部分野違い。Eではじまる3文字合わせ。
どれも出るものなので全部覚えておくしかない。



問28

新しい概念やアイディアの実証を目的とした,開発の前段階における検証を表す用語はどれか。

ア CRM   イ KPI   ウ PoC   エ SLA

解答:ウ
解説
ソリューションビジネスに関する問題です。

新しい技術やアイディアが実現可能であるか、どのような効果を得られるかを確認するため、開発の前段階に行う検証工程PoC(Proof of Concept:概念実証)といいます。

CRM(Customer Relationship Management)は顧客と良好な関係を築くため、顧客に関する情報を集めて分析する手法です。
KPI(Key Performance Indicator)はビジネスの目標達成に向けて行われる活動の進捗状況を評価するための指標です。
SLA(Service Level Agreement)はITサービスの提供者と利用者の間でサービス品質を保証する契約です。

ポイント
PoCは今後も出題が予想される。



問29

人間が行っていた定型的な事務作業を,ソフトウェアのロボットに代替させることによって,自動化や効率化を図る手段を表す用語として,最も適切なものはどれか。

ア ROA   イ RPA   ウ SFA   エ SOA

解答:イ
解説
業務プロセスに関する問題です。

事務作業など、人間が行っていた定型的な事務作業をソフトウェア型のロボットに代替させることで、自動化や効率化を図ることRPA(Robotic Process Automation)といいます。

ROA(Return On Assets:総資産利益率)は会社の資産からどのぐらい効率よく利益を上げているかを示す指標です。
SFA(Sales Force Automation)は営業活動の情報を共有・分析して利益増加を狙う仕組みです。
SOA(Service Oriented Architecture)は様々なアプリケーションや機能の一部を部品化し、組み合わせて新たなシステムにする手法です。

ポイント
3文字最後がA繋がり!?
これも選択肢全部見事に分野違いだけど全部出るので要チェック。



問30

企業の収益性を測る指標の一つであるROEの“E”が表すものはどれか。

ア Earnings(所得)     イ Employee(従業員)
ウ Enterprise(企業)    エ Equity(自己資本)

解答:エ
解説
会計・財務に関する問題です。

ROE(Return On Equity:自己資本利益率)は、企業の自己資本(株主資本)に対する当期純利益の割合を表します。
“E”が表すのはEquityです。

ちなみに計算式は
ROE(%)= 当期純利益 自己資本 × 100

ポイント
ROEの値は高いほど、資本を上手く利用して良い経営をしていると判断される。
会計・財務に関することは無理して覚える必要はない。知っていて損はないけど、時間がないなら覚えることから削ってOK。