ITパスポート 令和6年度 1-10問

ITパスポート 令和6年度 1-10問
●●● ストラテジ ●●●

問1

マーケティングオートメーション(MA)に関する記述として,最も適切なものはどれか。

ア 企業内に蓄積された大量のデータを分析して,事業戦略などに有効活用する。
イ 小売業やサービス業において,販売した商品単位の情報の収集・蓄積及び分析を行う。
ウ これまで人間が手作業で行っていた定型業務を,AIや機械学習などを取り入れたソフトウェアのロボットが代行することによって自動化や効率化を図る。
エ 見込み顧客の抽出,獲得,育成などの営業活動を効率化する。

解答:エ
解説
マーケティングに関する問題です。

マーケティングオートメーション(MA)とは、顧客情報の取得から見込み顧客の抽出、獲得、育成、既存顧客の維持などのマーケティング活動を自動化し、営業活動を効率化することです。

アはデータマイニング、イはPOS(Point of Sales)、ウはRPA(Robotic Process Automation)の説明です。

ポイント
現在シラバスにはないけど、余裕があれば一応覚えておこう。



問2

情報システムに不正に侵入し,サービスを停止させて社会的混乱を生じさせるような行為に対して,国全体で体系的に防御施策を講じるための基本理念を定め,国の責務などを明らかにした法律はどれか。

ア 公益通報者保護法    イ サイバーセキュリティ基本法
ウ 不正アクセス禁止法   エ プロバイダ責任制限法

解答:イ
解説
セキュリティ関連法規に関する問題です。

サイバーセキュリティに関して、国や地方公共団体が果たすべき責務、国民の努力義務、施策の推進についての基本理念を定めた法律サイバーセキュリティ基本法です。

公益通報者保護法は、組織内の不正行為などについて内部告発を行った労働者を保護することを目的に定められた法律です。
不正アクセス禁止法は、パスワードでアクセス制限されているコンピュータにネットワークを介して不正にアクセスする行為を不正アクセスを禁止する法律です。
プロバイダ責任制限法は、インターネット上に公開された情報によって権利侵害があった場合の、プロバイダなど通信事業者の対応について定めた法律です。

ポイント
サイバーセキュリティ基本法はサイバーセキュリティに関して基本理念を定めた法律で、不正アクセス禁止法は、具体的な施策を定めたもの!



問3

未来のある時点に目標を設定し,そこを起点に現在を振り返り,目標実現のために現在すべきことを考える方法を表す用語として,最も適切なものはどれか。

ア PoC(Proof of Concept)   イ PoV(Proof of Value)
ウ バックキャスティング   エ フォアキャスティング

解答:ウ
解説
技術開発戦略の立案・技術開発計画に関する問題です。

未来のある時点に目標を設定して、そこを起点として現在までさかのぼって目標実現のために現在すべきことを考える方法バックキャスティングです。

PoC(Proof of Concept)は、新たな概念やアイデアが本当に実現可能かどうかを示すために、実際に施行して検証を行うことです。
PoV(Proof of Value)は、製品やサービスに価値があるかどうかを検証することです。
フォアキャスティングは、現在と過去のデータから実現可能なものを積み上げて、目標を達成する思考法です。

ポイント
バックキャスティングは長期的、正解が不明な課題に対することに向いてる。フォアキャスティングはその逆。

本題ではないけど、ついでにPoC等も覚えておこう。
PoCは実現可能かどうか、PoVは価値があるかどうか、PoB(Proof of Business)は事業として成り立つかどうかの検証。



問4

従来の金融情報システムは堅ろう性が高い一方,柔軟性に欠け,モバイル技術などの情報革新に追従したサービスの迅速な提供が難しかった。これを踏まえて,インターネット関連技術の取込みやそれらを活用するベンチャー企業と組むなどして,新たな価値や革新的なサービスを提供していく潮流を表す用語として,最も適切なものはどれか。

ア オムニチャネル    イ フィンテック
ウ ブロックチェーン   エ ワントゥワンマーケティング

解答:イ
解説
e-ビジネスに関する問題です。

キャッシュレス決済や仮想通貨、ロボアドバイザー等、「これまでにない新たな価値や革新的なサービス」提供していく潮流を表す用語はフィンテックです。

オムニチャネルは、あらゆるメディアを活用して購入の経路を意識させずに販売促進につなげる戦略です。
ブロックチェーンは、データを複数のコンピュータに分散して記録・管理する仕組みです。暗号資産の管理方法です。
ワントゥワンマーケティングは、顧客ひとりひとりにあわせて、個別に展開されるマーケティングです。

ポイント
フィンテックは金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた言葉。



問5

ベンチャーキャピタルに関する記述として,最も適切なものはどれか。

ア 新しい技術の獲得や,規模の経済性の追求などを目的に,他の企業と共同出資会社を設立する手法
イ 株式売却による利益獲得などを目的に,新しい製品やサービスを武器に市場に参入しようとする企業に対して出資などを行う企業
ウ 新サービスや技術革新などの創出を目的に,国や学術機関,他の企業など外部の組織と共創関係を結び,積極的に技術や資源を交換し,自社に取り込む手法
エ 特定された課題の解決を目的に,一定の期間を定めて企業内に立ち上げられ,構成員を関連部門から招集し,目的が達成された時点で解散する組織

解答:イ
解説
技術開発戦略の立案・技術開発計画に関する問題です。

ベンチャーキャピタルとは、成長が期待される新しい製品やサービスを武器に市場に参入しようとする未上場企業に対して出資などを行う企業のことです。
投資先企業が上場した際のハイリターンを目的とします。投資を受ける企業は比較的楽に資金調達がかないますが、株式持分が少なくなり、会社の意思決定の自由がなくなるなどのデメリットもあります。

アはジョイントベンチャー、ウはオープンイノベーション、エはタスクフォースに関する記述です。

ポイント
出資や組織形態もよく出る!
過去問の内容の他、選ばれなかった他の選択肢についてもよくチェックしておこう!



問6

技術戦略の策定や技術開発の推進といった技術経営に直接の責任をもつ役職はどれか。

ア CEO   イ CFO   ウ COO   エ CTO

解答:エ
解説
経営・組織論に関する問題です。

技術戦略の策定や技術開発の推進など、技術に関する分野の責任を持つ役職CTO(Chief Technology Officer:最高技術責任者)です。

CEO(Chief Executive Officer)は、企業の最高経営責任者で、経営方針や事業戦略を策定し、企業全体の業務執行を統括します。
CFO(Chief Financial Officer)は、最高財務責任者で、効率的な資金調達を行い、経営に役立てます。
COO(Chief Operating Officer)は、最高執行責任者で、CEOが決定したことを実践する、業務上の最高責任者です。

ポイント
他にもあるよ!
CIO(Chief Information Officer)は最高情報責任者で、システム化の推進と、システムの管理に対して責任を持つ。
CDO(Chief Digital Officer)は最高デジタル責任者で、データに基づく新たなビジネスやサービスを創出する。

C〇Oの真ん中の部分が何の略か、で覚えておけば大丈夫!



問7

システム開発の上流工程において,業務プロセスのモデリングを行う目的として,最も適切なものはどれか。

ア 業務プロセスで取り扱う大量のデータを,統計的手法やAI手法などを用いて分析し,データ間の相関関係や隠れたパターンなどを見いだすため
イ 業務プロセスを可視化することによって,適切なシステム設計のベースとなる情報を整備し,関係者間で解釈を共有できるようにするため
ウ 個々の従業員がもっている業務に関する知識・経験やノウハウを社内全体で共有し,創造的なアイディアを生み出すため
エ プロジェクトに必要な要員を調達し,チームとして組織化して,プロジェクトの目的の達成に向けて一致団結させるため

解答:イ
解説
業務プロセスに関する問題です。

業務プロセスのモデリングとは個々の業務プロセスを一連の流れとして可視化することです。業務プロセスを可視化することで、必要な情報を洗い出して整理し、関係者間で解釈を共有できるようになり、業務の効率化・改善に繋がります。

アはデータマイニング、ウはナレッジマネジメント、エはキックオフミーティングを行う目的です。

ポイント
業務プロセスとか言われても学生さんとかはまだピンとこないかもしれないが、何事も基本はだいたい同じ。部活動とかバイトとかで「行う事」を対象に考えてみればいい。 なじみのないことは無理に想像しないで、簡単に考えましょー!

選択肢エの前半と後半意味がちがうような気が・・・。前半で行うことは人材資源マネジメントなんだよなー。



問8

表はA社の期末の損益計算書から抜粋した資料である。当期純利益が800百万円であるとき,販売費及び一般管理費は何百万円か。


ア 850   イ 900   ウ 1,000   エ 1,200

解答:ウ
解説
会計・財務に関する問題です。

損益計算書は、企業の収益と費用を記載した書類です。

通常は上から順に計算しますが、販売管理費(販売費及び一般管理費)を求めるのに、売上総利益を求めたあとは逆から計算します。それぞれ表の数値を当てはめてみましょう。
売上高8,000
売上原価6,000
売上総利益
(粗利益)
売上高 - 売上原価
①8,000 - 6,000 = 2,000
販売管理費
(販売費及び一般管理費)
⑤2,000 - 1,000 = 1,000
営業利益
売上総利益 - 販売管理費
④1,100 - 150 + 50 = 1,000
営業外収益150
営業外費用50
経常利益
営業利益 + 営業外収益 - 営業外費用
③1,150 - 60 + 10 = 1,100
特別利益60
特別損失10
税引前当期純利益
経常利益 + 特別利益 - 特別損失
②800 + 350 = 1,150
法人税等350
当期純利益
税引前当期純利益-法人税等
800

まず、①の売上総利益を求めます。全て単位は百万円です。
 売上高 - 売上原価
 ①8,000 - 6,000 = 2,000

次は逆から(下から)計算します。
当期純利益が800百万円です。当期純利益は
 税引前当期純利益-法人税等
として求めるので、この式から税引前当期純利益を求めることができます。
 当期純利益 = 税引前当期純利益 - 法人税等
 当期純利益 + 法人税等 = 税引前当期純利益
 ②800 + 350 = 1,150

税引前当期純利益は
 経常利益 + 特別利益 - 特別損失
として求めるので、この式から経常利益を求めることができます。
 税引前当期純利益 = 経常利益 + 特別利益 - 特別損失
 税引前当期純利益 - 特別利益 + 特別損失 = 経常利益
 ③1,150 - 60 + 10 = 1,100

経常利益は
 営業利益 + 営業外収益 - 営業外費用
として求めるので、この式から営業利益を求めることができます。
 経常利益 = 営業利益 + 営業外収益 - 営業外費用
 経常利益 – 営業外収益 + 営業外費用 = 営業利益
 ④1,100 - 150 + 50 = 1,000

営業利益は
 売上総利益 - 販売管理費(販売費及び一般管理費)
として求めるので、この式から販売管理費(販売費及び一般管理費)を求めることができます。
 営業利益 = 売上総利益 - 販売管理費(販売費及び一般管理費)
 売上総利益 - 営業利益 = 販売管理費(販売費及び一般管理費)
 ⑤2,000 - 1,000 = 1,000

よって、販売管理費(販売費及び一般管理費)は1,000百万円となります。

ポイント
大抵は表の上から順に計算していくが、ちょっとひねって後ろから計算させている。
各計算方法は、できたら覚えよう。 面倒な場合は最初から覚えない。捨てる覚悟でいい。



問9

企業の戦略立案やマーケティングなどで使用されるフェルミ推定に関する記述として,最も適切なものはどれか。

ア 正確に算出することが極めて難しい数量に対して,把握している情報と論理的な思考プロセスによって概数を求める手法である。
イ 特定の集団と活動を共にしたり,人々の動きを観察したりすることによって,慣し習や嗜好,地域や組織を取り巻く文化を類推する手法である。
ウ 入力データと出力データから,その因果関係を統計的に推定する手法である。
エ 有識者のグループに繰り返し同一のアンケート調査とその結果のフィードバックを行うことによって,ある分野の将来予測に関する総意を得る手法である。

解答:ア
解説
経営戦略手法に関する問題です。

フェルミ推定とは、既にある情報と論理的思考を基に、問題の回答となる概数を求める手法です。
例えば日本国内における〇〇の数は?などという問題に対して、各地域にいくつあると仮定して、そこから地域の数・規模からおおよその数を算出します。

イはフィールドワーク、ウは因果推論、エはデルファイ法に関する記述です。

ポイント
シラバスには現在ないので覚えなくてもいい。



問10

不正競争防止法で規定されている限定提供データに関する記述として,最も適切なものはどれか。

ア 特定の第三者に対し,1回に限定して提供する前提で保管されている技術上又は営業上の情報は限定提供データである。
イ 特定の第三者に提供する情報として電磁的方法によって相当量蓄積され管理されている技術上又は営業上の情報(秘密として管理されているものを除く)は限定提供データである。
ウ 特定の第三者に提供するために,金庫などで物理的に管理されている技術上又は営業上の情報は限定提供データである。
エ 不正競争防止法に定めのある営業秘密は限定提供データである。

解答:イ
解説
知的財産権に関する問題です。

不正競争防止法は、市場で公正な競争が行われることを保護する法律です。
限定提供データとは、次の3つの要素を満たす経営上または営業上の情報です。秘密として管理されているものは除きます。

・「業として特定の者に提供する」(限定提供性)
→反復継続提供、1回じゃダメ
・「電磁的方法により相当量蓄積され」(相当蓄積性)
→沢山の価値のある情報
・「電磁的方法により管理され」(電磁的管理性)
→アクセス制限してある

たとえばビッグデータや、商品として広く提供されるデータ等、事業者等第三者に提供する情報が該当します。
限定提供データの不正な取得行為や不正な使用行為等に対する民事措置が規定されます。

1回に限定した提供や金庫などで物理的に管理されている情報、営業秘密は限定提供データに該当しません。

ポイント
法律関係は、何を定めているか、守るものはなにか、禁止行為がよく問われる。
最近こういった追加情報も出題される。とりあえず法律を全部追いかけるのは不可能なので、最低限過去問で出てきたものだけは覚えよう!