ITパスポート 令和6年度 31-40問

ITパスポート 令和6年度 31-40問
問31

顧客との個々のつながりを意識して情報を頻繁に更新するSNSなどのシステムとは異なり,会計システムのように高い信頼性と安定稼働が要求される社内情報を扱うシステムの概念を示す用語として,最も適切なものはどれか。

ア IoT(Internet of Things)    イ PoC(Proof of Concept)
ウ SoE(Systems of Engagement)   エ SoR(Systems of Record)

解答:エ
解説
情報システム戦略に関する問題です。

記録を行うためのITシステムをを指す用語はSoR(Systems of Record)です。
会計、人事、経理、製造管理などのシステムが該当します。

IoT(Internet of Things)は、あらゆる「モノ」をインターネットに接続することです。
PoC(Proof of Concept)は、新たな概念やアイデアが本当に実現可能かどうかを示すために、実際に施行して検証を行うことです。
SoE(System of Engagement)は、顧客との繋がりを意識したITシステムを意味する言葉です。

ポイント
すべて小さい o は of。他の選択肢も試験に出るのですべて知っておいたほうがいい。



問32

労働者派遣における派遣労働者の雇用関係に関する記述のうち,適切なものはどれか。

ア 派遣先との間に雇用関係があり,派遣元との間には存在しない。
イ 派遣元との間に雇用関係があり,派遣先との間には存在しない。
ウ 派遣元と派遣先のいずれの間にも雇用関係が存在する。
エ 派遣元と派遣先のいずれの間にも雇用関係は存在しない。

解答:イ
解説
労働関連・取引関連法規に関する問題です。

労働者派遣法は、人材派遣を行う派遣企業と、派遣先企業が守るべき内容を定めた法律です。
労働者派遣では、派遣会社(派遣元)と労働者が雇用関係にあります。

ポイント
労働者と派遣元間にあるのは雇用関係。
労働者と派遣先間にあるのは指揮命令関係。



問33

次の記述のうち,業務要件定義が曖昧なことが原因で起こり得る問題だけを全て挙げたものはどれか。

  1. 企画プロセスでシステム化構想がまとまらず,システム化の承認を得られない。
  2. コーディングのミスによって,システムが意図したものと違う動作をする。
  3. システムの開発中に仕様変更による手戻りが頻発する。
  4. システムを受け入れるための適切な受入れテストを設計できない。
ア a, b   イ b, c   ウ b, d   エ c, d

解答:エ
解説
要件定義に関する問題です。

業務要件定義とは、経営戦略やシステム戦略、利用者のニーズを考慮して、システムに求める機能及び要件を定義することです。

aは要件定義の前の企画段階の問題、bは要件定義の次の開発段階での問題です。
cは業務要件定義が曖昧な場合、開発中に仕様変更による手戻りが発生しやすくなります。
dの受入れテストは要件定義を満たしているか確認するので、業務要件定義が曖昧では、適切な受入れテストを設計できません。

ポイント
システム化の流れをざっと覚えておこう。
規格 システムの構想を立案
要件定義 システム化の範囲と機能、性能、利用方法を明らかに
開発 要件定義をもとに開発
運用 実際の環境でシステムを運用
保守 不具合対応・変更・改善を行う



問34

顧客の特徴に応じたきめ細かい対応を行うことによって,顧客と長期的に良好な関係を築き,顧客満足度の向上や取引関係の継続につなげる仕組みを構築したい。その仕組みの構成要素の一つとして,営業活動で入手した顧客に関する属性情報や顧客との交渉履歴などを蓄積し,社内で共有できるシステムを導入することにした。この目的を達成できるシステムとして,最も適切なものはどれか。

ア CAEシステム   イ MRPシステム
ウ SCMシステム   エ SFAシステム

解答:エ
解説
ビジネスシステムに関する問題です。

営業活動の情報を共有・分析して利益増加を狙うシステムSFA(Sales Force Automation)システムです。

CAE(Computer Aided Engineering)システムは、コンピュータで技術計算やシミュレーションや解析を行うシステムです。
MRP(Material Requirements Planning)システムは、生産計画に基づいた適切な部品の数と時期を算出するシステムです。
SCM(Supply Chain Management)システムは、調達から設計、製造、販売までの一連のプロセスを全体で管理して、全体最適化を目指すシステムです。

ポイント
システム名は他にも似たようなものがあって、どれがどれだっけ?となりやすい。SCMだったらSupplyChainだから一連!というように単語から頭文字から特徴と組み合わせて覚えよう。



問35

実用新案に関する記述として,最も適切なものはどれか。

ア 今までにない製造方法は,実用新案の対象となる。
イ 自然法則を利用した技術的思想の創作で高度なものだけが,実用新案の対象となる。
ウ 新規性の審査に合格したものだけが実用新案として登録される。
エ 複数の物品を組み合わせて考案した新たな製品は,実用新案の対象となる。

解答:エ
解説
知的財産権に関する問題です。

実用新案商品の形状や構造、組合せ方などのアイディアのことでです。
製造方法は対象外で、高度なものや新規性の条件はありません。

ポイント
知的財産権は4つ。保護の対象の組合せ

特許権は新しいアイディアや発明
実用新案権は商品の形状や構造、組合せ方などのアイディア
意匠権は商品の工業的デザイン
商標権は商品名やロゴマーク

それぞれの権利の保護の対象や存続期間がよく出題される。



●●● マネジメント ●●●

問36

プロジェクトに該当する事例として,適切なものだけを全て挙げたものはどれか。

  1. 会社合併に伴う新組織への移行
  2. 社内システムの問合せや不具合を受け付けるサービスデスクの運用
  3. 新規の経理システム導入に向けたプログラム開発
  4. 毎年度末に実施する会計処理
ア a, c   イ b, c   ウ b, d   エ c

解答:ア
解説
プロジェクトマネジメントに関する問題です。

プロジェクトとは、何らかの目標を達成するため、新しい事業・業務計画を行うことを指します。

aの会社合併に伴う新組織への移行とcの新規の経理システム導入に向けたプログラム開発はプロジェクトに該当します。

bとdは定期的な業務なので該当しません。

ポイント
新しく、一度きりで、期限があるものをプロジェクトと呼ぶ



問37

システム開発プロジェクトを終結する時に,プロジェクト統合マネジメントで実施する活動として,最も適切なものはどれか。

ア 工程の進捗の予定と実績の差異を分析する。
イ 作成した全ての成果物の一覧を確認する。
ウ 総費用の予算と実績の差異を分析する。
エ 知識や教訓を組織の資産として登録する。

解答:エ
解説
プロジェクトマネジメントに関する問題です。

プロジェクト統合マネジメントプロジェクトの全ての工程で統合的に管理し、相互調整を行います。
プロジェクト統合マネジメントでは、知識や教訓を組織の資産として登録します。

アはタイムマネジメント、イはスコープマネジメント、ウはコストマネジメントで実施する活動です。

ポイント
マネジメント分野はあまり出題する項目がないので、「どのマネジメントの活動か?」と逆に「このマネジメントの活動はどれか?」が必ず出る。
大体は言葉でわかるが、スコープなど想像しにくいものはチェックしておこう。



問38

あるシステムの運用において,利用者との間でSLAを交わし,利用可能日を月曜日から金曜日,1日の利用可能時間を7時から22時まで,稼働率を98%以上で合意した。1週間の運用において,障害などでシステムの停止を許容できる時間は最大何時間か。

ア 0.3   イ 1.5   ウ 1.8   エ 2.1

解答:イ
解説
サービスマネジメントに関する問題です。

SLA(Service Level Agreement)はITサービスの提供者と利用者の間でサービス品質を保証する契約です。SLAの内容は以下の通りです。

・利用可能日を月曜日から金曜日
・1日の利用可能時間は7時から22時まで
・稼働率を98%以上

稼働率は、設備や人がどれだけ動いたのかを示す指標です。

利用可能時間は、1日7時から22時までなので、
 22 - 7 = 15
15時間です。
利用可能日を月曜日から金曜日の5日間なので、1週間では
 15 × 5 = 75
75時間です。

75時間、稼働率を98%以上にするには、稼働時間は
 75 × 98 / 100 = 73.5
73.5時間以上必要です。
75時間から稼働時間を引いた
 75 - 73.5 = 1.5
1.5時間が、1週間の運用において障害などでシステムの停止を許容できる最大時間になります。

ポイント
て障害などでシステムの停止を許容できる最大時間は
 100 - 98 = 2
2%。
 75 × 2 / 100 = 1.5
の方が早い。



問39

サービスデスクを評価するためには適切なKPIを定めて評価する必要がある。顧客満足度を高めるために値が小さい方が良いKPIとして,適切なものだけを全て挙げたものはどれか。

  1. SLAで合意された目標時間内に対応が完了したインシデント件数の割合
  2. 1回の問合せで解決ができたインシデント件数の割合
  3. 二次担当へエスカレーションされたインシデント件数の割合
  4. 利用者がサービスデスクの担当者につながるまでに費やした時間
ア a, b   イ a, d   ウ b, c   エ c, d

解答:エ
解説
サービスマネジメントシステムに関する問題です。

KPI(Key Performance Indicator)は目標達成に向けて行われる活動の進捗状況を測定するための、業績評価の指標を示す用語です。

エスカレーションはサービスデスクで対応できなかった場合なので、値が小さい方が良いKPIです。
利用者がサービスデスクの担当者につながるまでに費やした時間は小さい方が顧客満足度を高めるために良いKPIと言えます。

目標時間内に対応が完了したインシデント件数と1回の問合せで解決ができたインシデント件数の割合は、値が大きい方が良いKPIです。

ポイント
わかりにくい場合は、自分が客だったら?と客側に立って考えよう。
インシデント解決件数や問合せの解決数割合が少ない→×
エスカレーションに行く件数、担当者につながるまでにの時間が少ない→〇

KGI(Key Goal Indicator)はビジネスの最終到達目標の具体的指標も出る。
セットで覚えよう!
KGIは結果を見る指標。KPIはKGI達成までの過程を測る指標。



問40

アジャイル開発に関する記述として,最も適切なものはどれか。

ア 開発する機能を小さい単位に分割して,優先度の高いものから短期間で開発とリリースを繰り返す。
イ 共通フレームを適用して要件定義,設計などの工程名及び作成する文書を定義する。
ウ システム開発を上流工程から下流工程まで順番に進めて,全ての開発工程が終了してからリリースする。
エ プロトタイプを作成して利用者に確認を求め,利用者の評価とフィードバックを行いながら開発を進めていく。


解答:ア
解説
開発プロセス・手法に関する問題です。

アジャイル開発は、細かい機能ごとに分割して短期間で開発してはリリースするサイクルを繰り返しながら機能を追加していく開発手法です。開発は、優先度の高いものから行います。
また、仕様書を作成することも必須ではありません。

ウはウォーターフォール、エはプロトタイピング開発モデルの特徴です。

ポイント
実際に開発作業を行わない人は本当にわからない分野。
でも出題されるのは最近流行のものが多いので、よくわからなくても特徴とあわせて簡単に覚えておこう。
アジャイルはかなり出題率が高いぞ!