ITパスポート 令和5年度 71-80問

ITパスポート 令和5年度 71-80問
問71

IoTシステムにおけるエッジコンピューティングに関する記述として,最も適切なものはどれか。

ア IoTデバイスの増加によるIoTサーバの負荷を軽減するために,IoTデバイスに近いところで可能な限りのデータ処理を行う。
イ 一定時間ごとに複数の取引をまとめたデータを作成し,そのデータに直前のデータのハッシュ値を埋め込むことによって,データを相互に関連付け,改ざんすることを困難にすることによって,データの信頼性を高める。
ウ ネットワークの先にあるデータセンター上に集約されたコンピュータ資源を,ネットワークを介して遠隔地から利用する。
エ 明示的にプログラミングすることなく,入力されたデータからコンピュータが新たな知識やルールを獲得できるようにする。

解答:ア
解説
ネットワーク方式に関する問題です。

エッジコンピューティングは、センサから集めたデータを、IoTデバイスに近い場所へ複数のコンピュータを分散配置して、そこで分析とフィードバックを行い可能な限りのデータ処理ことです。
IoTサーバとやりとりするデータ量を減らすことでサーバの負荷を軽減できます。

イはブロックチェーン、ウはクラウドコンピューティング、エは機械学習の説明です。

ポイント
IoTとAI関係は絶対に複数問出る!
過去問で出たものは絶対に全部覚えておく事!



問72

情報セキュリティのリスクマネジメントにおけるリスク対応を,リスク回避,リスク共有,リスク低減及びリスク保有の四つに分類したとき,リスク共有の説明として,適切なものはどれか。

ア 個人情報を取り扱わないなど,リスクを伴う活動自体を停止したり,リスク要因本的に排除したりすること
イ 災害に備えてデータセンターを地理的に離れた複数の場所に分散するなど,リスクの発生確率や損害を減らす対策を講じること
ウ 保険への加入など,リスクを一定の合意の下に別の組織へ移転又は分散することによって,リスクが顕在化したときの損害を低減すること
エ リスクの発生確率やリスクが発生したときの損害が小さいと考えられる場合に,リスクを認識した上で特に対策を講じず,そのリスクを受け入れること

解答:ウ
解説
情報セキュリティ管理に関する問題です。

【リスク対策】
リスク回避 リスク原因を回避する
リスク共有 リスクを他者と分け合ったり肩代わりをしてもらう
リスク低減 リスクの発生率や損害を抑えるよう対策する
リスク保有 リスクはもったまま

リスク共有の説明は、保険への加入など、リスクを一定の合意の下に別の組織へ移転又は分散することによって、リスクが顕在化したときの損害を低減すること、が適切です。

アはリスク回避、イはリスク低減、エはリスク保有の説明です。

ポイント
ヤバさ大←―――――――――――――→ヤバさ小
リスク回避 リスク共有 リスク低減 リスク保有

という具合。ヤバいものほど対策を講じて、小さいものはほっとく。
対策の具体例と一緒に覚えよう。



問73

攻撃者がコンピュータに不正侵入したとき,再侵入を容易にするためにプログラムや設定の変更を行うことがある。この手口を表す用語として,最も適切なものはどれ か。

ア 盗聴       イ バックドア
ウ フィッシング   エ ポートスキャン

解答:イ
解説
情報セキュリティに関する問題です。

一度侵入したコンピュータに、後から不正ログインできるようプログラムや設定の変更を行って作った秘密の入口やその手口バックドアといいます。

盗聴は、ネットワーク上に接続されているコンピュータのデータやネットワークでやりとりされているデータを不正に盗み取ることです。
フィッシングは、偽のWebサイトやメールを使い、暗証番号やパスワードをだまし取る行為です。
ポートスキャンは、ネットワークに接続されているコンピュータの通信可能なポートを順に特定のデータを送信して、その応答状況を調べることです。

ポイント
攻撃手法は、あと数年は必ず出題されると見ていい。
攻撃手口は出来る限り覚えておくこと!



問74

ニューラルネットワークに関する記述として,最も適切なものはどれか。

ア PC,携帯電話,情報家電などの様々な情報機器が,社会の至る所に存在し,いつでもどこでもネットワークに接続できる環境
イ 国立情報学研究所が運用している,大学や研究機関などを結ぶ学術研究用途のネットワーク
ウ 全国の自治体が,氏名,生年月日,性別,住所などの情報を居住地以外の自治体から引き出せるようにネットワーク化したシステム
エ ディープラーニングなどで用いられる,脳神経系の仕組みをコンピュータで模したモデル

解答:エ
解説
情報に関する理論に関する問題です。

ニューラルネットワーク人間の脳神経の情報が伝わる仕組みをコンピュータで模したものです。
ニューラルネットワークをもっと応用させたものがディープラーニングです。

アはユビキタスネットワーク、イは学術情報ネットワーク、ウは住民基本台帳ネットワークの説明です。

ポイント
AI(人工知能:Artificial Intelligence)の一部が機械学習・ニューラルネットワーク、さらにその中にディープラーニングという位置づけ。
AI関係も必ず出るよ!



問75

表計算ソフトを用いて,二つの科目X,Yの点数を評価して合否を判定する。それぞれの点数はワークシートのセルA2,B2に入力する。合格判定条件(1)又は(2)に該当するときはセルC2に“合格”,それ以外のときは“不合格”を表示する。セルC2に入力する式はどれか。

[合格判定条件]
(1) 科目Xと科目Yの合計が120点以上である。
(2) 科目X又は科目Yのうち,少なくとも一つが100点である。



ア IF(論理積((A2 + B2) ≧ 120, A2 = 100, B2 = 100), ‘合格’, ‘不合格’)
イ IF(論理積((A2 + B2) ≧ 120, A2 = 100, B2 = 100), ‘不合格’, ‘合格’)
ウ IF(論理和((A2 + B2) ≧ 120, A2 = 100, B2 = 100), ‘合格’, ‘不合格’)
エ IF(論理和((A2 + B2) ≧ 120, A2 = 100, B2 = 100), ‘不合格’, ‘合格’)

解答:ウ
解説
オフィスツールに関する問題です。

合格判定をそれぞれ見てみましょう。

(1) 科目Xと科目Yの合計が120点以上である。
これを式で表すと

 (A2 + B2) ≧ 120

となります。

(2) 科目X又は科目Yのうち,少なくとも一つが100点である。
これを式で表すと

 論理和(A2 = 100, B2 = 100)

となります。

“合格”が表示されるのは、合格判定条件(1)又は(2)に該当するときです。
上の2つの式をIFの条件式で書くと

 論理和((A2 + B2) ≧ 120, 論理和(A2 = 100, B2 = 100))

となりますが、論理和は引数のうちどれか1つが当てはまればいいので、

 論理和((A2 + B2) ≧ 120, A2 = 100, B2 = 100)

とまとめることができます。
IFでは条件式に当てはまれば2つ目の引数を出力し、当てはまらない場合は3つ目の引数を出力するので、

 IF(論理和((A2 + B2) ≧ 120, A2 = 100, B2 = 100), ‘合格’, ‘不合格’)

となります。

ポイント
IFなど簡単な関数は覚えておこう!

あとは積と和の違いがポイント。
論理和 どれか1つでも当てはまればいい
論理積 全部当てはまらないとダメ

論理和(a, 論理和(b, c))と論理和(a, b, c)がなんで同じやねん!という人のために説明。
論理和(a, 論理和(b, c))の第二引数、論理和(b, c)は「bかcどちらか1つでも当てはまればいい」。論理和(a, 論理和(b, c))全体の結果は、
・aが当てはまれば、論理和(b, c)の結果は関係なくあてはまる
・aが当てはまらなければ、論理和(b, c)の結果による

表にすると。
a b c
1 x x ←略。bとcは下の4パターン。全部結果は1
0 0 0 ←これだけ結果は0
0 1 0
0 0 1
0 1 1

この表は、論理和(a, b, c)のときと同じ。
よって論理和(a, 論理和(b, c))と論理和(a, b, c)は同じ。
全部あてはまらないときだけダメ、つまり「どれか1つでも当てはまればいい」となる。



問76

品質管理担当者が行っている検査を自動化することを考えた。10,000枚の製品画像と,それに対する品質管理担当者による不良品かどうかの判定結果を学習データとして与えることによって,製品が不良品かどうかを判定する機械学習モデルを構築した。100枚の製品画像に対してテストを行った結果は表のとおりである。品質管理担当者が不良品と判定した製品画像数に占める,機械学習モデルの判定が不良品と判定した製品画像数の割合を再現率としたとき,このテストにおける再現率は幾らか。



ア 0.05   イ 0.25   ウ 0.50   エ 0.80

解答:ウ
解説
情報に関する理論に関する問題です。

求める再現率は、品質管理担当者が不良品と判定した製品画像数に占める、機械学習モデルの判定が不良品と判定した製品画像数の割合です。

品質管理担当者が不良品と判定した製品画像数は、

 5 + 5 = 10

枚です。
そのうち機械学習モデルの判定が不良品と判定した製品画像数は5枚です。
よって再現率は

 5 ÷ 10 = 0.50

となります。

ポイント
説明分の中の枚数とか表に惑わされるが、実はたいした問題ではない。
計算問題はわりとこういうのもある。ITパスポートではそんなに複雑なものはでない!と頭に入れておこう。



問77

受験者10,000人の4教科の試験結果は表のとおりであり,いずれの教科の得点分布も正規分布に従っていたとする。ある受験者の4教科の得点が全て71点であったときこの受験者が最も高い偏差値を得た教科はどれか。



ア 国語   イ 社会   ウ 数学   エ 理科

解答:ウ
解説
応用数学に関する問題です。

標準偏差とは、平均値からの差(偏差)の標準を表す数値です。
例えば平均点が70点のテストの場合、

 ・75点の人 → 偏差は5
 ・40点の人 → 偏差は30

となります。
偏差が小さい人ばかりならば、データのばらつきは小さく、標準偏差は小さいといえます。
つまり、みんな似たような成績ならば、標準偏差は小さく、逆に成績にばらつきがあるなら標準偏差は大きくなります。

偏差値は、平均が50点・標準偏差が10点になるように調整したものです。求め方は以下の通り。

 偏差値 = (得点 - 平均点) ÷ 標準偏差 × 10 + 50

各教科の得点が71点の場合の偏差値を計算してみましょう。

・国語
 (71 - 62) ÷ 5 × 10 + 50 = 9 ÷ 5 × 10 + 50 = 68
・社会
 (71 - 55) ÷ 9 × 10 + 50 = 16 ÷ 9 × 10 + 50 = 67
・数学
 (71 - 58) ÷ 6 × 10 + 50 = 13 ÷ 6 × 10 + 50 = 71
・理科
 (71 - 60) ÷ 7 × 10 + 50 = 11 ÷ 7 × 10 + 50 = 65

最も高い偏差値を得た教科は数学です。

ポイント
知らないと解けないので捨てていい。

どうでもいいけど問題の人、全て71点ってすごいあげく成績良いな!



問78

関係データベースの主キーの設定に関する記述として,適切なものだけを全て挙げたものはどれか。

  1. 値が他のレコードと重複するものは主キーとして使用できない。
  2. インデックスとの重複設定はできない。
  3. 主キーの値は数値でなければならない。
  4. 複数のフィールドを使って主キーを構成できる。
ア a, c   イ a, d   ウ b, c   エ b, d

解答:イ
解説
データベース設計に関する問題です。

関係データベース表形式でデータを関連付けて管理するデータベースです。関係データベースの表(テーブル)で、1レコードを一意に識別するためのフィールドが主キーです。

主キーは一意な値なので、値が他のレコードと重複するものは主キーとして使用できません。
インデックスは目的のレコードを効率よく取得するための索引のことです。主キーとインデックスとの重複設定は可能です。
また、主キーは数値である必要はなく、他のデータ型でも一意であれば可能です。
主キーは、複数のフィールドを使って構成することもできます。

ポイント
主キーについてはデータベース問題で一番出題が多いので、どういうものか必ず理解しておく事!



問79

PDCAモデルに基づいてISMSを運用している組織の活動において,次のような調査報告があった。この調査はPDCAモデルのどのプロセスで実施されるか。

社外からの電子メールの受信に対しては,情報セキュリティポリシーに従ってマルウェア検知システムを導入し,維持運用されており,日々数十件のマルウェア付き電子メールの受信を検知し,破棄するという効果を上げている。しかし,社外への電子メールの送信に関するセキュリティ対策のための規定や明確な運用手順がなく,社外秘の資料を添付した電子メールの社外への誤送信などが発生するリスクがある。

ア P   イ D   ウ C   エ A

解答:ウ
解説
情報セキュリティ管理に関する問題です。

PDCAは、継続的な業務の改善を促す技法です。

【PDCA】
Plan 計画を立てる
  ↓
Do 計画に基づいた対策の導入・運用
  ↓
Check 実施した結果の監視・評価
  ↓
Act 対策の改善

これを繰り返して改善していきます。

問題の調査は、現在のセキュリティ対策に関するものです。監視・評価なので、Check(C)のプロセスで実施されることです。

ポイント
PDCAサイクル、色んな場面で出るので絶対に覚える事!最重要!



問80

USBメモリなどの外部記憶媒体をPCに接続したときに,その媒体中のプログラムや動画などを自動的に実行したり再生したりするOSの機能であり,マルウェア感染の要因ともなるものはどれか。

ア オートコレクト    イ オートコンプリート
ウ オートフィルター   エ オートラン

解答:エ
解説
情報セキュリティに関する問題です。

外部記憶媒体をPCに接続したときに、指定されたプログラムを自動的に実行させる機能オートランといいます。

オートコレクトは入力時のスペルミスを自動的に修正する機能です。
オートコンプリートは過去に入力した文字をから次に入力される内容を予想して表示する機能です。
オートフィルターは入力したデータの中から条件を満たすデータだけを抽出して表示する機能です。

ポイント
オートランは設定によって自動実行させないことが可能。
危険なものは認知される頃には大抵対応策が出ているはずなので、一緒に覚えておくといい。